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機械設計講座:機械設計者のための覚え書き
力と仕事、工率について(N、N・m、W)
0. 概要
力とは質量と加速度の積
仕事とは力と移動距離の積
工率とは力と移動速度の積
・各種計算の時には単位系の違いに注意
1.0 解説

あまり機械設計と直接関係のないことを説明しているように思われるかも知れませんが、大事なことなのでしばらくおつきあい下さい。

説明の前に単位系についてお断りしておきます。

従来は重力単位系で計算をしていましたが、徐々にSI単位系に移行しつつありますので、ここでは主にSI単位系で説明、または併記ということにします。

さて、普通「1kgの力が掛かっている」とか言うと、これは重力単位系で表現しているわけで、SI単位系では9.8N(ニュートン)の力がかかっていることになります。

では、もう一度復習ですが、「力とは質量と加速度の積」ですから、
1N=1kg・m/sec2

です。
つまり1kgの物体に1m/sec2の加速度を掛けたものが1Nですね。

ここで、

「なんで1kgのものが9.8Nなんだ?重量1kgと言っても質量も1kgだろ?」

って混乱してる人を見かけますが(実は昔、学生時代に私も混乱しました)これは単位系を混同してるからなんですね。

で、混乱をさけるために 重力単位系での力kgf と言う単位を使います。
すると 重力単位系での質量kgf・sec2/m と表現されます。これなら混乱しないでしょ?

では、仕事とはなんでしょうか?
図1 仕事は、
「物体に力 f が作用して、ある距離 x だけ移動したとき、物体は仕事 L  をした」


と定義されています。
つまり、
L = f・x・・・・・・・・・・・・(1)

で表されるわけです。(単位はSI単位系ではN・m、重力単位系ではkgf・m)

で、同じ仕事をしても、たらたらやってる人とてきぱきやってる人では、仕事の効率が違いますから、同様に機械の仕事についても、
「単位時間にどれだけ仕事をしたか、出来るか」を表すのが 工率
です。

効率PはW(ワット)で表され、

P = f・x/t = L/t [N・m/sec2]・・・・・・・・・(2)

で計算できます。モーターの出力なども工率です。
1[W] = 1[N・m/sec2]

ですので、間違えないようにして下さい。

上の式を書き換えると、

P = f・V = m・V・α [N・m/sec2]・・・・・・・・・・・(3)

となります。
つまり 工率とは 力と移動速度の積」 である訳です。
(または質量に速度、加速度をかけたものであるとも言えます)。
ここでm:質量、V:速度、α:加速度です。

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例題:
 モーターのカタログに定格トルク1kgf・m、定格回転数1200rpmと書かれている場合、このモーターの出力はいくらでしょうか?
図2 トルクは腕の長さと力の積ですから、1mの腕では1kgfの力が掛かっていることになります。

で、単位時間に移動した距離と言うのは速度のことですから、1mのところでの周速を求めて掛けてやれば良いことになります。

周速は2π・r・n/60で表されますから(rは腕の長さ、nは回転数、60で割るのは秒速に直すため)

v=126[m/sec]

となります。

では、出力は1×126=126wでしょうか?違いますね。あくまでこれは重力単位で計算してますから、これに9.8を掛けて約1.2kwとなります。

逆に、モーター出力と回転数からトルクを求めるときにも、単位を間違えると、一桁近く値が違ってきますので注意が必要です。

この辺は間違いやすいので気をつけましょう。

この様な間違いを避けるためには、計算の初期の段階ですべての単位をSI単位に換算してから計算を始めると良いでしょう。



さて、 直線運動も回転運動も同じ事 、と言う説明の為に敢えてこのような説明をしましたが、
実は、上記の説明とは別にもっと簡単に計算が出来ます。

補足2にも書いていますように、

  P [Watts] = T [N・m]×ω[rad/sec]
         =T×2・π・n/60


で良いのです。Tはトルク、ωは角速度、nは回転数[rpm]です。

まとめると、工率
直線運動では、力に速度を掛けたもの
回転運動では、トルクに角速度を掛けたもの
となります。

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補足1:馬力と言うのも工率ですが、英馬力と仏馬力の違いをご存知でしょうか?
英馬力 1HP=550 [ft・lb/sec]=0.746 [kW]=746 [W]
仏馬力 1PS=75 [kgf・m/sec]=0.7355 [kW]=736 [W]
少しですが、違いますね。概略、1馬力=0.74 [kW]と覚えておけば良いでしょう。

補足2:モータ出力の計算方法を紹介しておきます。
DCモータなどの出力表示が無い場合があります。その場合、
下記の計算式でモータ出力が計算できます。

  P [Watts] = 0.1047×T [N・m]×N[r/min]

例えば、定格トルク73.5[mN・m]=0.0735[N・m]、定格回転数3,000[rpm]とすると、

  P=0.1047×0.0735×3,000=23.5[W]

となります。難しく考えることは無く、トルクと回転数の積なのですが、1回転が2πラジアンであり、それを60秒で割ると

 0.1047 

という係数が出て来るだけです(^^;
一応、何かの参考まで。


補足3:
原発絡みで、頓珍漢な発言をしている人達が目に余るので、
kW と kWh の違いについて書いてみます。

まずこの2つの単位の概念は、速さ・時間・距離の関係で言えば、
kWが「速度」

kWhは「距離」
と例えられます。
つまり、瞬間瞬間の発電量・消費電力量をkW、それを1時間継続した場合の総発電量・総消費電力をkWhという単位で示す訳です。


話を簡単にするために、発電能力が1 kWの発電所があるとします。
24 時間発電すれば24 kWhです。 ここまではわかりますよね?

では、600 Wのヘアードライヤーと600 Wの電子レンジを20 分間使った時いくらになりますか?

(0.6 + 0.6)×1/3 = 0.4 kWh
となります。

なんだ、凄い余裕が有るじゃないか、と思いますか?
とんでもない話です(笑

(0.6 + 0.6) = 1.2 kW 

となった時点で発電能力を超えていますから、発電所はダウンします。
発電所の能力を考えるときは、あくまでkWで考えないといけません。

ニュースなどを見るときにも、解説している人がどの単位で話をしているのか注意してみてください。
この2つの単位を混同している人は「素人」以下ですからね。
そんな人の解説は聞くだけ時間の無駄です。
  
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(20 November 2007)モータ出力を追記しました。
(18 June 1998)初出

[参考文献]:  社刊「   」(    著)
copyright(c) 2011-  orbit limited.

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