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機械設計講座:機械設計者のための覚え書き
慣性モーメントについて
0. 概要
この記事では次の3点を説明します。
慣性モーメントとは回転運動における慣性量のこと
・回転運動も直線運動の一種と考えれば慣性モーメントが導かれる
・重力単位系におけるGD2と慣性モーメントとの違い

難しい式が理解できない場合はそのままにして、とりあえず慣性モーメントGD2というものがある事だけ覚えておいてもらえば結構です。
計算が必要な場合は、その製品のカタログなどに数値が記入されているはずですから、それを使えば、取り敢えずは、大丈夫です。
1.0 解説

さて、慣性モーメントとはなんでしょう?
これは、回転運動における慣性量だと以前の説明で書きましたね。

では、直線運動では慣性量が質量なのに何故回転運動では違うものになるのでしょうか?(というより違うものに見えるのでしょうか?)

図1を見て下さい。
図1 質点(大きさが無視できるくらい小さいとします)がある中心点Oの周りを半径rで回転しているとします。
で、円周上の点PがP1からP2まで移動したと考えると、
その移動距離をs、Oを中心にして測ったP1とP2との移動角度をψとすれば、

    s=r・ψ      注)ψはラジアン
で表せますよね?(ψを微少角として考えればそうなります)
ここで速度と言うものは単位時間当たりの移動量ですから、これは移動距離を時間で微分したものと言えます。だから速度をvとすると、

        ds    d(r・ψ)       dψ       dr
    v=――=―――――=r・――+ψ・――
        dt      dt           dt        dt
となりますね。で、半径rの時間的な変化はないので(なぜなら半径一定の円上の点だから)第2項が0となり、
           dψ
    v=r・――=r・ω
           dt
となることがわかるでしょう。ここでωは角速度と呼ばれています。
で、速度をもう一度微分したものが加速度(つまり単位時間当たりの速度の変化量)ですから、結局加速度をαとすると、
           dω
    α=r・―― -------------------------------------------(1)
           dt
になるのもわかりますよね。
で、ここまで分かればあとは微小点についての関係式を求めてそれを積分すれば求める関係が導かれるはずですよね。

図2 ではある物体のある一部の微小な点Pの質量をm、中心(この場合中心軸と考えて 下さい)からの距離をr、mの加速度をαと考えましょう。
積分の基本的な考え方は、微小量の関係式を求めてそれの総和をとる、ですから、
微小な力は、
    ΔF=m・α
で、同様に中心軸周りの微小なトルクは
    ΔT=ΔF・r=m・α・r
となります。
で、(1)式よりαを置き換えると
                         dω
    ΔT=ΔF・r=m・r2・――
                         dt
となり、物体全体の総和をとると(本当は積分する訳ですが、総和と考えても問題ないでしょう)
                         dω
    T=ΣΔT=Σ(m・r2・――) -------------------------------(2)
                         dt
となるのはわかりますよね。ここで dω/dtは角加速度なので定数ですから、結局は、
                    dω      dω      ω:角速度
    T=Σ(m・r2)・――=I・――       I:慣性モーメント
                    dt       dt
慣性モーメント I ってのは結局 Σm・r2 であるってことが分かりますね。
(上記の説明は数学的には厳密な表現ではないですが、説明を分かり易くするためです。ご容赦ください。)

で、これまでは慣性モーメントIで説明してきましたが、じゃGD2とはなんなん だ?それと慣性モーメントとはどういう関係なんだ?ってことの説明です。
まずΣm・r2を計算する訳ですが、Σm というのは全質量Mであることは分かりま すよね。
だとするとΣr2と言うのを求めるのですが、平均半径(回転半径)があったとしてそれ を k とするなら、
    Σr2 = ・k2
とすれば、
I=M・k2
と表せます。

で、よく使われるGD2ですが、これは計算式ではなく概念的な量です。
G は重量、 D は仮想的な回転直径(回転半径の2倍)です。すると
    G=M・g            g:重力加速度
    
    D=2・k
と表せますから、結局、
              G    D       GD2
    I=M・k2=―・(―)2=―――
              g    2      4・g
または
    4・g・I=GD2
という関係になることもお分かりでしょう。
なんでこんな面倒なものを使うかというと工学単位系が重量単位で計算してるから なんですね。
SI単位系に移行する時にはGD2を使って考えると却って厄介かなという気はします。
ですから、なるべくこれからはGD2は使わず、どうしても使わないといけないときは早い段階で I に換算してから計算した方がよいでしょう。

で、ここまでの関係が理解できれば、あとはエネルギー保存の法則が生きてきま す。(勿論、作用反作用とか慣性の法則もですが)

直線運動している物体の運動エネルギーは、
                m・v2
    E=F・s=―――        s:移動量
                 2
同様に回転運動している物体の運動エネルギーは、
                I・ω2
    E=T・ψ=―――      ψ:移動角
                  2
と表せます。
これらの総和量(場合によっては位置エネルギーも含めて)は不変ですから、 例えば回転体をモーターで一定時間内に回すにはどれだけのトルクが必要かって ことも計算出来るわけですよね。
減速比iの減速機付きのモーターの場合は慣性モーメントがモーター軸換算で は 1/i2 になることには注意が必要でしょう。なぜそうなるかは次回以降で説明しますが、これもエネルギー保存則から導けますね。

実際、難しい式も上記の様な事が理解できていればやってることは分かるはずで す。

次回は、実際の計算例などを説明したいと思います。
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(23 Sept. 1998)


[参考文献]:  社刊「   」(    著)
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