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機械設計講座:機械設計者のための覚え書き
直線運動機構のガイド方法
0. 概要
直線運動機構のガイド方法の種類
1.リニアシャフトとリニアモーションベアリング(リニアブッシュ)
2.リニアシャフトと無給油ブッシュ(オイレスベアリング等)
3.市販のリニアガイド(LMガイド)
4.加工したオリジナルなガイド機構 (滑り、ローラー、玉.....etc)
それぞれに特徴があります。
どのガイド方法を使うか、は予算と必要とする精度、剛性などで決めます。

しかし、一寸した加工でも加工費が結構かかるものなので、市販品をうまく使 う事を考えたいものです。
特に最近はモーターやエアシリンダーなどの駆動源とガイドがセットになってる物が安価に入 手できますので、トータルコストを考えると結局安上がりのことがあります。
1.0 解説
リニアモーションベアリング(リニアブッシュ) 実際の使用例
オイレスベアリング
オイレス工業(株)カタログより
LMガイド
THK社カタログより

THK社カタログより

小金井製作所(株)カタログより
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●リニアモーションベアリング(リニアブッシュ)を使うときの注意
リニアモーションベアリングは、モーメント荷重かかるときは一部の玉に集中して荷重がかか る事があるので寿命にどう影響するかを考慮が必要です。
また、軸の保持が両端のみの2点支持ですから、軸の撓みも性能に影響しないか検討が必要で す。(軸のたわみ剛性など)
そう言う面からも軸長に限界があります。
その対策として、開放型のリニアモーションベアリングを使って軸を多点で固定する方法は効果が有ります。
但し開放型のリニアモーションベアリングに、オーバーハング荷重を掛ける使い方は、あまりお薦めできません。浮き上がり荷重には別の保持が必要となります。
見逃され勝ちな事ですが、リニアブッシュでは玉の列数とその方向による違いに注意が必要で す。
荷重の直下に玉がある場合をA、荷重に対し振り分けた場合をBとして、B/A を一覧にすると、
列数動定格荷重静定格荷重
4列1.151.41
5列1.191.46
6列1.061.28
(NSK社の例)

これくらい差がありますから、組み付け指示書に玉列の方向を図示しておくなどが必要でしょ う。
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●無給油ブッシュ(オイレスベアリング等)の採用は手軽でコンパクトな設計が出来る
滑りのブッシュの良い点は、
・コンパクトに出来る
・軸が焼き入れ無しの生材でも可
・安価である
などが考えられます。
ただし、軸に生材を使う場合でも硬質クロムメッキをした方が良いでしょう。
無給油ブッシュには、含油のものと、本当の無給油で使用できるものもあります。
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●金属同志の滑りを採用する際の材料選定の注意
市販のブッシュではなく、金属を機械加工して使う時の材料の選定は、原則として
  ”硬い物と柔らかい物、または、硬い物と硬い物”
の組み合わせにして下さい。
アルミとアルミ、ステンレスとステンレスなどはすぐに囓ります。
特にステンレスを真空機器などで使う時は注意が必要です。
軸受けに限らずねじなどでも、脱脂して使用した場合、分解困難な事態が発生して思わぬトラ ブルが発生します。
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●滑りのブッシュを使うときはレバー比に注意
以下の式を満足するように各部寸法を決定して下さい。

    μ<b/(2*L)

ここでμ:摩擦係数、b:ブッシュの軸方向長さ、L:軸中心から荷重点までの 距離(下図を参照)
セルフロックの条件
この条件を間違えるとブッシュは噛んでしまって(セルフロック)動きません。
結構、この条件を間違えて動かないって騒いでる人が多いんですよね。
仮にμ=0.2、L=65mmとするとb=26mm以上必要ですね。だから、30mm程度のbでは 使ってる内に(潤滑ギレ等で)噛んでしまいます。”腕は短く、ブッシュは長く”が原則です。
だから、市販品だと2個直列使いくらいになります。(長いものがあれば1個)
もちろん面圧も計算が必要ですが、上記の通りかなり長いブッシュが必要なので 大体は問題なく収まるはずです。

■式の説明

上の図において軸の傾きは無視出来るものとします。また、レバーの重さも無視します。
図の様にセルフロックしている状態では、各力は釣り合っているはずです。
図中の水平方向をx軸、垂直方向をy軸とすると、

x軸方向の力の釣り合いは、

F1+F2=0・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)

次にy軸方向の力の釣り合いは、

P-(F1+F2)μ=0・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)

O点周りのモーメントの釣り合いは、
P・L-(F1+F2)・b/2+(F1-F2)・μ・d/2=0・・・・・(3)
ここでdは軸の直径です。

(1)式より、F1=F2=Fとすると、(2)式に代入して整理すると、

P=2Fμ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)

また(3)式より

F・(2μL-b)=0

となり整理すると、

μ=b/(2*L)

がセルフロックの条件になります。
セルフロックしないで滑るためには、(4)式は不等式であり、
P > 2Fμ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4')

ですから結局、
μ<b/(2*L)

となることが分かります。
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●ガイド軸は2本同じモノを使わなくてもよい
軸を2本使ってガイド軸を説明しましたが、別にガイド軸は2本である必要は 有りません。また、2本とも同寸法である必要もありません。(同様に軸受け の数も偶数で有る必要もないですね)

例えば、
1.1本は太い軸で、もう1本は細い軸の構成
2.1本軸プラス、ガイド板+カムフォロアの構成
3.ボールスプライン軸1本のみ
などが考えられます。要は負荷に耐えられる軸と、軸周りの回転を規制する働 きが実現できればいいのです。

特に2番の方法は加工の寸法精度がラフでよいので、ローコストな機械を作る場合には 良く使う手ですね。家電品なんかでも似た構造を良く見かけます。
又、3番のボールースプラインは玉とスプライン軸の接触が、点というより面 に近いのでかなりの負荷に耐えられます。(軸のたわみとかは別に検討要しま す。)
スペースが限られている時はボールスプラインの採用を検討するのもよいでし ょう。

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●軸の固定方法の選定も大事です。
軸端に雄ねじを切ってナット止めするか、または雌ねじを切ってボルト止め するか、軸に溝を切って横からねじでその溝を押さえるかなど、軸の固定方法 にも色々あります。
そのほか軸には何の細工もしないで、軸保持板にスリ割りを切ってそのスリ割りをねじで締めて、固定する方法もあります。
もっと割り切った方法では、片方の軸をV溝に板ばねみたいな金具で固定し、他方の軸はただ平面に乗せて浮き上がり防止の金具だけというのもあります。
つまり、2つの軸は同一平面上に有ることは加工で規定されてますが、軸の平行度の精度は加工上は問題にならない訳ですね。旨い設計だと思いました。
(V溝と平面でガイドってのは、工作機械では常識的な方法でしょうが、軸の固定に使ってたので一寸意外な気がしました。)

軸の固定金具では、ミスミなどのカタログに標準品がありますから、それらを使うのもよいでしょう。

垂直軸では、単純に横から止めねじで固定という方法はよくありません。
段付きにするか、ピンを打つかの何らかの抜け止めをほどこします。
最悪ねじが緩んでも軸が抜ける不具合は避けたいですから。
段付きにしても、ピンにしても下側だけで十分です。両側にほどこす必要はありません。無意味ですから。

どちらにしても、どれかが正解ではなくコスト、使用条件、寸法的な制約などからどれかの方法を選択して決定しないといけません。
その場合、何かを犠牲にしていることもありますから、その不安要素については一応考慮しておきましょう。

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(29 Apr.2004)初出
(29 Apr.2007)追記、訂正、図追加など


[参考文献]:  社刊「   」(    著)
copyright(c) 2011-  orbit limited.

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