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機械設計講座:機械設計者のための覚え書き
カム機構の設計例とTips
0. 概要
今回の記事はカム設計の初歩の解説です。
最低、この程度の知識があればカム機構の設計は出来ます。

現在、カムの設計は初学者にはあまり縁が無いかも知れません。
その為、カムの設計の際、この程度は知っていて欲しいという内容を書いてあります。

ざっと見ておいて、必要なときにこのページを見直してもらえばよいかと思います。

下記記事はDRAFTです。随時加筆訂正していきます。
質問・アドバイス等があれば連絡願います。
皆さんの参考になるように記事を充実させていきたいと思っています。
1.0 解説
[おはなし機械設計講座]の設計例を元に具体的なカムの設計例を説明します。

まず図1に設計例のタイミングチャート(案)を示します。
図1.設計例のタイミングチャート(案)
図1.設計例のタイミングチャート(案)
検査時間の 0.5secが長いですね。カム軸1回転が 1.2秒としても、ここで 150°とられるわけですから、残り 210°です。
しかも停留時間 0.2sec分、60°をとられますから残り 150°です。
結局 75°で移動と上下動を行わなければなりません。
(メカ屋としては「おい!もっと検査時間を短くできないのか!」と圧力を掛けたいところですが^^;仕様ですからね)
さて、次にストロークですが上下動が 15mm、移動が 70mmです。
このストロークの平方根の比をとると約1 : 2.1です。ですので、24°と 51°の割付にします。(下記Tips参照)
次に上昇端手前 5mmで完全にワークの最大高さを離れることが分かっていますから、余裕をみても上昇端手前 4mm くらいから移動を開始しても問題ないと思えます。
ストローク 15mmに対して 4mmはどれくらいの角度でしょうか?変形正弦曲線(MS)を使うとして、4/15 ≒ 0.25とすると、
T = 0.35 (変形正弦曲線のカム曲線特性表より)
ですから、
0.35 X 24°≒ 8.4°→小数点以下切り捨てとして 8°
がオーバーラップ量です。
では、これをそれぞれの比率で各々に、2°と 6°をボーナスとして増やし、割付角を 26°と 57°とします。
これらを元にタイミングチャートを割付角に換算して書き直すと、
図2.カムの割付角度
図2.カムの割付角度
となりました。

さて、割付角が決まりましたから「カム」の設計に入ります。
カムサイズを決定する手順は、
1.最大圧力角を直動機構では 45°( 30°が望ましい)以内、揺動機構では 60°( 45°が望ましい)以内に抑えるような基礎円径を決める。
2.最大圧力角によって決定された基礎円径より最小曲率半径を求める。
3.負荷法線荷重を求める。
4.負荷法線荷重に耐えられるローラ径およびカム材質を決める。
となります。
ただし、普通は「カム機構」を最初に決めないと決められない事が多いので、後追いでの確認計算になります。
では、まず最大圧力角の計算です。
最大圧力角の近似計算式は(曲線にもよるが、計算結果が大きめに出る)
tanφm = Y * Vm / L

φm :最大圧力角
Y  :従道側での最大ストローク(揺動従節の場合、振り角に半径を掛けた値つまり弧長とする)
L  :カム側での最大ストローク(カムの平均径に割り付け角を掛けた値、これも弧長となる)
Vm  :カム曲線の無次元最大速度(変形正弦曲線では1.76)
Y の値は、例題としての設計例では、
テーブル移動で約 34
接点板上下で約 13
です。
Lの値は、
テーブル移動で約 56
接点板上下で約 21
以上より、最大圧力角 φm は、
テーブル移動で tanφm = Y * Vm / L = 34 * 1.76 / 56 = 1.1
接点板上下で  tanφm = Y * Vm / L = 13 * 1.76 / 21 = 1.1

結局、最大圧力角φmは、
テーブル移動で φm は約 48°
接点板上下で  φm は約 48°
となります。
ともに45°よりは若干大きい値ではあるが妥当な数字と言えるでしょう。
参考までに大塚カム(株)から頂いた計算図表では35°となっており、問題無いと言えます。
以上の計算から基礎円直径はφ80で決定とします。

次に、最小曲率半径です。
最小曲率半径ρminの近似計算式は、
ρmin = L2 / ( Y * Am )

ρmin :最小曲率半径
Y   :従道側での最大ストローク(最大圧力角の説明と同じ)
L   :カム側での最大ストローク(最大圧力角の説明と同じ)
Am   :カム曲線の無次元最大加速度(変形正弦曲線では5.52)
途中の計算は省略して、結局、最小曲率半径ρminは、
テーブル移動で ρminは約 16.7
接点板上下で  ρminは約 6.1
となります。
接点板上下がきつそうな値です。
上記と同様に大塚カム(株)計算図表で確認すると、それぞれ約45、約20となっておりこれも問題ない と言えるでしょう。
この様に近似式と図表での計算結果に違いが出るのは、曲線の違いを考慮してあるか無いかの違いによるものです。


以下
3.負荷法線荷重を求める。
4.負荷法線荷重に耐えられるローラ径およびカム材質を決める。
の記事は未執筆。



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以下、カムを使う場合のTipsです。何かの参考にして下さい。

☆カム曲線の種類
カムを使う場合、カム曲線に何を使うか?で悩む人がいると思いますが、 普通は、変形正弦曲線を使っておいてまず問題になることはありません。
特に負荷の性質が不明な場合は、変形正弦曲線を選定するのが良いでしょう。

代表的なカム曲線3種の簡単な違いをまとめると、
曲線名略号用途
変形正弦曲線 MS中負荷、中速用
変形台形曲線 MT軽負荷、高速用
変形等速度曲線 MCV重負荷、低速用
となります。

●他のカム曲線の特性を知りたい方のために、拙作の
カム特性表示プログラム
があります。(exeファイルですので、そのまま保存して使用して下さい)
カム曲線をドロップダウンリストから選択し、計算の分割数(既定値は100)を指定して保存なり描画ボタンを押せば良い簡単なプログラムです。

Cam_Graph_Draw.exe
:各種カム曲線の特性をグラフとして表示します。
Cam_CSV_Out.exe
:各種カム曲線の特性をEXCEL等で処理出来るCSVファイルで出力します。

(CSVファイルをメモ帳で表示した例)


尚、データの並びは左から、時間、変位、速度、加速度、躍動、出力の順です。

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☆カム割り出し角の割付方
カムの割付角の決め方が分からない人もいるかもしれません。
これも、難しく考えなくてよいのです。
とにかく、動きのシーケンスを考えて上図のようなタイミング線図を割付角を 考えずに書いてみます。それから、ストロークとスピードを考えて修正します。

山梨大学の牧野教授の説では、
”ワークをつかんで移動する場合は、移動距離の平方根に比例して割り付ける”
がよいそうです。
こうすると、最大加速度を同じ値に抑えられるそうです。
これで出来た原案をもとにして、オーバーラップ角分を各リンクに割り振りって角度の補正をします。
オーバーラップ角というのは、例えばP&Pユニットで上昇・下降と前後動は 必ず上昇端から移動開始とか、移動端から下降開始と言う風に 動く必要はないですよね?
どうしてもここまで上昇するまでは前後動してはいけないポイントがあって、 それ以後は上昇と前後動は一緒で構わない例が多くないですか? ですから、ここの部分(カム上の角度)がオーバーラップしていいわけですから その分カムの割付角にも余裕が出てきます。

オーバーラップ量を求めるにも、カム曲線の移動量が分からないと決められな いなんて思ってますか?
これは、各曲線の移動量、速度、加速度などを無次元化した表がありますから (カム屋さんからもらえる、又は牧野先生の本とかに書いて有ると思います。または上で紹介簡易プログラムでも確認出来ます。)
簡単に決められます。一度やれば分かると思います。

☆ばねの使い方
普通の非拘束カムを使う場合はばねの使い方も気を付けましょう。
ワークをカムの駆動側で押さえたり、押したりは原則(原則ですから、当然例外はあります)禁止です。
ばねの戻り側でワークを移動させたいです。
理由はワークが引っかかったりしたときを考えれば、分かりますよね。
それから、ばねのストロークは最大でも全長の(密着巻きの引っ張りばねとし て)30%以下にしましょう。(あくまで目安です)
それ以外にも、縮んだ時に必要な荷重があればそれをもとにして決めないとい けないでしょう。だから、理想を言えば一番伸びた時が30%ならストローク量 は10%以下くらいにしたいところです。(荷重の変動を小さくしたいから)


☆カムフォロア
最近は、小さいカムフォロアが出てますから問題になることはないでしょうが、 スペースの関係で普通のミニチュアベアリングを代用するのは慎重に行って下さい。
外輪はそれほど厚肉ではないので、転がっている内に疲労破壊で簡単に外輪が 破壊します。特に揺動運動で顕著です。


☆カム軸とモーターの連結
できれば、カムの軸とモーター(減速後の出力軸の意)軸は直結したいところ ですが、どうしても離さないといけないなら、チェーンでつなぐのは避けたい ですね。
必ず伸びてきますから、カムの登り側と下り側の変換点で”ガクン”となります。
最近はカムで負荷のバランスをとる機構も出来てますが、カム屋さんと相談し てみるのも良いでしょう。


☆アームの揺動軸
アームの根元の軸受けをどうするかは、意外と悩むのではないでしょうか?
ミニチュア玉軸受けは軸受けを納める部分の寸法が大きくなりがちです、シェル型ニードルベアリングはその点コンパクトに出来るのですが、相手軸の焼き入れ硬度がそれなりに要求されますし、加工精度も必要です。
ここで注意しないといけないのが、アームは揺動運動をするのである一定角度分だけのころや玉と外輪・内輪に負荷がかかることです。
この様な運動では意外と早く寿命が来ることがあります。特にシェル型ニードルベアリングを使用して、軸の焼き入れが甘いと直ぐにガタが出てくることがあります。
上記カムフォロアの説明と同様な疲労破壊・摩耗です。
特に高い精度が必要でなければ、市販の金属シェル付き無給油ブッシュ(例:ミスミ型番LFZBなど)を使用するのがよいでしょう。
これはH7程度の穴に単純に圧入でよく、圧入後の内径もH10程度に納まります。
また相手軸も生材でよいので手軽に使えます。

<以下記事未執筆:暫くお待ちを>

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以上の説明以外にも、カム機構の注意点はたくさんあるのですが、(上記の説明も カム屋さんから見たら「お前は何を言うだ!」って言われそうですが)これくらいにしておきましょう。
詳しくは、有名なカム加工メーカーなら技術資料を持ってますからそれを一読 する事を薦めます。(協和カムとか、大塚カムなどでは講習会用の資料等を持っているはずです)

カム機構は上手く設計すると、静かで速くスムーズな動作が可能です。
その点、空圧機構ではどうしても音もうるさく、あまり速度をあげられない事が多いです。
牧野先生は、
「大体人間でもそうだけれども、派手にガチャガチャ動いている やつよりも、じっくり腰を据えて黙って働いている奴のほうが仕事をしている 物なのだ」
と形容されてます。
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以上の記事はFFAで私が連載しておりました「役立たずの(?)の機械設計講座」を元にまとめたモノです。
私が設計してきた経験をまとめたものですが、参考にさせてもらった記事もあります。
以下に参考文献を記します。これ以外にも参考にした記事、資料があると思いますが失念。

[参考文献]:
牧野 洋:自動機械機構学、日刊工業新聞社
牧野 洋:裏返しのメニュー、技術調査会
牧野 洋:シーバスリーガルロボット、技術調査会
雑誌  :機械設計 第23巻第15号(1979年12月号)
その他 :(株)三共製作所製作所、大塚カム(株)他講習会テキスト資料

(30 Apr.2004)初出
(24 Feb.2011)一部加筆


[参考文献]:  社刊「   」(    著)
copyright(c) 2011-  orbit limited.

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