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機械設計講座:機械設計者のための覚え書き
軸受けの選定
0. 概要
1.転がり軸受けを設計する前に
2.玉軸受けの連続性
3.単体で考えないで軸受け構造として考える
4.玉軸受けところ軸受けの違い
5.温度上昇と軸の伸びに注意

下記記事はDRAFTです。随時加筆訂正していきます。
質問・アドバイス等があれば連絡願います。
皆さんの参考になるように記事を充実させていきたいと思っています。
1.0 解説

[転がり軸受けを設計する前に]

転がり軸受けを新規に設計する場合はまず以下の検討が必要です。(装置モノで一品物の設計として)
1.市販のピローブロックを使えないか
2.市販の転がり軸受けのベアリング・ユニット/ホルダーセットは使えないか
3.市販のプランマブロックは使えないか
それでも使えない時に初めて独自の設計をする、というのが良いでしょう。市販品は高価な様でも 、加工品と比べれば格安ですから。
ピローブロックの例 市販ベアリングホルダーセットの例 プランマブロックの例
ピローブロック 市販ベアリングホルダーセット プランマブロック
 FYH社製ピローブロックカタログより  TSK社製ベアリング・ホルダーセットカタログより  不二越製プランマブロックカタログより

やはり、独自の設計をするとなった場合は、次の順序で考えると良いでしょう。
4.深溝玉軸受けではどうか
5.他の軸受けを検討する場合

 a.高スラスト荷重・高速回転: →アンギュラ玉軸受け→組み合わせアンギュラ玉軸受け

 b.組み付けや分解の容易生: →マグネト玉軸受け

 c.調芯性: →自動調芯玉軸受け→自動調芯ころ軸受け

 d.高ラジアル荷重: →円筒ころ軸受け→円錐ころ軸受け

 e.高スラスト荷重のみ: →スラスト玉軸受け→スラスト円筒(円錐)ころ軸受け
実際には、更に細かい分類もありますがそれが必要になるケースは多くないでしょうし、深溝玉軸受けから離れれば離れるほど、価格や納期の点で入手が困難になります。
ですので、割愛します。
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[玉軸受けの連続性]

 基本的なベアリングとして、玉軸受けがありますね。
ところで、玉軸受けには「連続性」と言う性質があります。
普通、学校では深溝玉軸受け、アンギュラ玉軸受け、スラスト玉軸受けはそれぞれ独立し た玉軸受けとして教わると思います。
しかし、本当は溝と玉の当たる角度(接触角)が違うだけで、接触角を連続的に変えてい けばそれぞれの軸受けになるのです。
つまり「連続性」がある訳です。
ところが、深溝玉軸受けはラジアル負荷用途が強調され過ぎるためか、スラスト負荷荷重 がきわめて小さいかのように誤解されているのではないでしょうか?
「連続性」を考えれば当然ですが、スラスト荷重を受けると接触角が変化しますので、 アンギュラ玉軸受けとみなす事が出来ます。
特に無理な荷重を負荷している訳ではないと言うことが分かりますね。
試しに、カタログで調べてみて下さい。かなり大きい負荷に耐えられるはずです

その際は、動等価荷重による寿命計算だけすれば大丈夫です。
参考として、動等価荷重の求め方を説明します。
回転する軸にラジアル荷重とスラスト荷重が共存する場合、
P=X・Fr+Y・Fa
P:動等価ラジアル荷重[N、kgf]
Fr :実ラジアル荷重[N、kgf]
Fa :実スラスト荷重[N、kgf]
X :動ラジアル係数(カタログに記入されています)
Y :動スラスト係数(同上)
となります。

次に寿命計算をする訳ですが、
カタログから C:基本動定格荷重[N、kgf]を調べて、 L:転がり疲れ寿命[×106回転] を次式より求めます。
L=(C/P)3 [×106回転]
*この転がり寿命は90%の信頼度での値であり、総回転数で有る事に注意して下さい。
また、上記の計算は玉軸受けの場合にのみ適用されます。
どれくらいの寿命時間を見込めばよいのか?の指標を下記にまとめましたので参考にして下さい。

機械の運転状態 定格寿命時間(hr)
常時は回転しない機械500
短時間または断続的に運転される機械で、故障しても大きな影響の無い機械4,000〜8,000
断続運転されるが、故障すると大きな影響の有る機械8,000〜12,000
1日8時間運転されるが、常時フル回転されない機械1,2000〜20,000
1日8時間フル回転される機械20,000〜30,000
1日24時間連続運転される機械40,000〜60,000
1日24時間連続運転され、故障による停止を許されない機械100,000〜200,000


*寿命時間の計算についての詳細は、> JIS B 1518 <にて確認して下さい。

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[単体で考えないで軸受け構造として考える]

軸受けは単体ではなく軸受け構造として考えるべきだと思います。
この辺りは、難しいことを言うとキリがないのですが、基本的には軸受け構造として は「固定側」−「自由側」を別に考えて、それぞれにどうい う軸受けを採用するかという組み合わせ(軸受け配列)で考 えるべきです。(区別のつかないものも当然あります)
「固定側」と言うのはその軸受けで、負荷と軸の位置決めを 負担する側を言い、「自由側」は軸や軸受け箱に対しては位 置が自由で単に負荷のみ負担する側、の意味です。

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[玉軸受けところ軸受けの違い]

 間違えやすいのが、自由側で特にラジアル荷重を多く負荷させたい、だからころ軸受け を採用しようというものです。
もちろんこの考えは正しい面もありますし、ころ軸受けのラジアル負荷荷重が大きいのは 事実ですが、注意しないといけないのは、軸がたわむとか組み付け精度が悪いと、とたん に片当たりによる応力集中が生じ性能低下、短寿命などの問題が発生しますのでその辺は 注意して下さい。
詳しくは専門書に説明を譲るとして、ころ軸受けの性質としては、
玉軸受けに比較すると、
”特に荷重が低いほど長い寿命を示す”
だと言うことは覚えておいて下さい。

 心配なので補足しますと、基本定格荷重をCbとし荷重をPとすると、
P/Cb=1の時のころ軸受けの寿命は玉軸受けの約4倍ですが、P/Cb=0.1の時は、 約8倍くらいになります。あくまで比較での話ですのでお間違えの無いように。
余談ですが、私がこういう説明をすると、
「組み付け精度がラフな機械で玉軸受けを使って予圧を掛けたら簡単に壊れた。そこでこ ろ軸受けに代えたら簡単に直った。だからあなたの説明は間違っている。」
と言ってきた人がいます。
これは残念ながら、基本的な事を間違えています。
そもそも精度が出ていない機械で、「予圧を掛ける」とはどういう事を意味するのか理解 できていないと思います。
あくまで同じサイズの玉軸受けところ軸受けを比較すれば、定格荷重が違うのは当たり前 ですから、そのまま置き換えてその差で壊れなくなったからと言って「ころ軸受けは組み 付け精度を要しない」と言えるでしょうか?
それはそういう余裕のある場合であって、ころ軸受けであってもシビアな設計をした時に 「組み付け精度が悪いときどうなりますか?」を考えれば分かるはずです。
同じような安全率で設計したとき、ころ軸受けで設計した機械は、「 組み付け精度を玉軸受け以上に要求される」と言うことです。
ローコストの機械では組み付け精度は期待しないという前提 で設計しますし、たわみもある程度は許容するという構造になりがちです。
その様な時は注意が必要です。

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[温度上昇と軸の伸びに注意]

その他の注意すべきことで見落とされがちな事ですが、特に長い 軸では使用中の温度上昇による軸の伸び分の逃げを考慮すべきです。
「ベースも同じ材質だから同じように伸びるからいいだろう?」などと考えてはいけませ ん。
温度上昇は機械全体では同じになる保証は無いのですから。

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(30 Apr.2004)初出
(13 Sept.2004)加筆
(12 Apr.2007)加筆、図追加等


[参考文献]:日刊工業新聞社刊「機械設計」第25巻第13号(1981年10月臨時増刊号)
copyright(c) 2011-  orbit limited.

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