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機械設計講座:機械設計者のための覚え書き
ねじについての雑学
0. 概要
1.メクラ穴にタップは極力避ける
2.一つの部品に多種類のタップ穴の使用は極力避ける
3.無意味に長いタップ指示はしない
4.ボルト類の周囲に工具を回すだけのスペースを確保すること
5.・軸に丸物を固定する場合、固定用ねじ穴は120度分割で2カ所のねじ止めとする
6.丸物にねじ加工する場合、市販品の組み合わせ等の可否を検討する
7.ねじで位置決めを期待しないこと
8.止めねじ(イモねじ)の使用はどうしても必要なところだけ指示する
9.皿ねじの多数個使用はなるべく避ける
10.ばね座金に緩み止めを期待しないこと
11.緩み止めのダブルナットの配置に注意
12.軸に部品を固定する場合、ねじ先の形状に注意
13.ステンレス同士の締結は注意が必要
14.管用ねじの新旧呼称について

下記記事はDRAFTです。随時加筆訂正していきます。
質問・アドバイス等があれば連絡願います。
皆さんの参考になるように記事を充実させていきたいと思っています。
1.0 解説

[ねじの図面指示]

・メクラ穴(止まり穴)にタップは極力避ける
なるべく貫通穴となる様にします。これはタップの折損を避けるためです。
これは何もねじ穴に限りません。
これを経験則では”通せる物は通させろ”と言います。
メクラ穴が避けられないときは、切り粉の逃げを大きめにとることが必要です。
不完全ねじ部長さを5山分、切り粉の逃げの部分長さは径の0.5倍から1倍程度とる
と良い。

   図: メクラ穴へのねじ加工
      図:  
参考までにねじの下穴径dの目安は、
d=ねじ外形−ピッチ
です。 または、もっと簡単には、
d=ねじ外形×0.8+α
でも良い。
ただし、径が大きい時はαを気持ち大きくしないといけません。
また、ステンレスなど加工しにくい材料も同様です。
普通、ステンレスの15cmスケールの裏側には早見表がついていますから、そういうものを利用するのも手です。

次に、不完全ねじ部の長さですが、
上げタップで、1.5山
中タップで、5山
先(荒)タップで、9山
分となってます。
MCなど機械で加工する場合は中タップまでにする事が多いので、5山分は必要と覚えておくと良いでしょう。

雑感)
とある方から、「メクラ穴は差別用語だから使うべきでない。訂正せよ!」とのメールをいただきました。
しかし「メクラ穴」に限らず、昔からの職人言葉にはどうしても乱暴なものが多いです。
実際問題、英語表記では「Blind Hole」は今も現役だと思いますが、どうでしょうか?
また、「オス」「メス」もジェンダー・フリーな方々からは批判の対象になる言葉なのでしょうか?
同様に「ブラインド・リベット」は?
所謂「言葉狩り」ではないか、と私は思います。
一応、「止まり穴」を()内に補足しておきましたが、「メクラ穴」に限らず、他にもこの類の言葉が当HP内に有ろうかと思います。
それらに反応され気分を害される方には申し訳ありませんが、悪しからずご了承願います。
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・一つの部品に多種類のタップ穴の使用は極力避ける
タップ交換するのも大変ですし、図面誤読による誤作も減らせます。
同様に(タップ穴の深さではなく)ボルト類の長さの種類もなるべく少なくする様に設計します。
理由は分かると思いますが、ボルト種類が少なければ手配も楽ですし、組付けの間違いも減らせます。

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・無意味に長いタップ指示はしない
ねじのハメアイ長さは、ねじ径の1.5倍〜2.5倍程度で十分です。
必要以上に長いと、加工も組み付けも時間がかかって無駄が多いです。
大体、標準のタップの現物を見てみれば、どれくらいの長さまで加工できるものかは分かると思います。
同様に深いところにタップ指示はしないことも大切です。
そんなところにねじ加工しようとすると、特注品のタップハンドルか何かを使わないと加工出来ません。
加工が出来ても、組付け時にどうやってネジ締めするか?という問題もあります。
   図: タップ形状
      図: タップ形状 
似たような事は他でも多いのでは?
この様な場合、設計を変更して加工面を手前に持ってこれるようにします。
これを経験則として”奥の加工は前に出せ”と言います。
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・ボルト類の周囲に工具を回すだけのスペースを確保すること
六角ボルトではスパナを回せるか?
六角穴付きボルトではボルトの上のスペースがあるか?
を意識して、図面の段階で忘れないことが肝心です。
特殊な工具でもないと組付けが出来ないものは、下手な設計と言われても仕方が無いでしょう
・軸に丸物を固定する場合、固定用ねじ穴は120度分割で2カ所のねじ止めとする
図面を書くには90度分割が簡単ですが、120度分割の方が確実です。
キー溝を加工するなら1本はキーを、他の1本はそこから120度離れた所でねじ止めします。

軸固定のねじ配置

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・丸物にねじ加工する場合、市販品の組み合わせ等の可否を検討する
一体でねじとスパナ掛け部を削る物は、市販のねじ材とナットの溶接でいけないか?等の代替案を考える事が必要。
これを、経験則として”一発削りは避けること”と言います。
この事は他の部品でも同じです。市販品をうまく使うことです。
逆にナット材を別部品にして、本体にははめ込むだけにすると本体の加工が楽になったり、加工精度を要しないこともあります。
図面を書いたら別のやり方で代替できないか?と考えることが大切です。

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[その他の注意]

・ねじで位置決めを期待しないこと
どうしても位置決めしたいなら、ノックピン等を立ててそれで位置決めすべきです。
または、ガイド部を加工したボルト(リーマーボルト等)とそれに見合った穴を止め側に加工して行うべきです。
また、剪断荷重をねじ部で、受ける設計は不可です。
ボルトの首下部のねじのない部分などで受ける設計にすべきです。これはねじ部はノッチがあるのと同じですから、ここから破断が置きやすい為です。
最悪なのは完全ねじ部と不完全ねじ部の境目が剪断面に来ることですので、厳禁です。

ボルトで剪断荷重を受けない

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・止めねじ(イモねじ)の使用はどうしても必要なところだけ指示する
見た目が良いので、止めねじを使用しがちですが、六角穴とかスリ割りが破損されたとき分解出来なくなります。
同様に六角穴付きボルトも無意味に沈頭にしない方が良い。
高速回転させるところでは偏芯荷重による振動などの問題もありますのでケースバイケースとなりますが、本当に必要な箇所以外は沈頭にしない方が無難です。

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・皿ねじの多数個使用はなるべく避ける
どうしても皿穴に対し片当たりで固定されますので、一寸緩むと直ぐに他の皿ねじも緩んでしまいます。
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・ばね座金に緩み止めを期待しないこと
気休めにしかなりません。却って緩みやすいことが多いです。
どうしても使うなら、皿ばねを使った方が良いでしょう。
平座金とかばね座金はボルトの首下ではなく、ナット側に使うべきです。
特に小ねじでは。
基本的に座金類の効果については疑問が多いのですが、逆に樹脂にねじ止めするには座金類は必要です。これは材料のクリープを防ぐため、接触面積を大きく取って面圧を下げるためです。

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・緩み止めのダブルナットの配置に注意
ダブルナットは締結力を受けるのはあくまで外(上)側のナットです。
内(下)側は普通薄いナット(3種)を、外側は厚い(2種)ものを使います。両方同じ厚み(2種)でも問題はない。
蛇足になりますが、ダブルナットの締結方法は、最初に下側のナットを締め、次に上側のナットを締め、その後上側のナットを固定したまま、下側のナットを緩める方向に回転させるのが正しい締め方です。(上下のナットで突っ張る様に)
ダブルナットの配置

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・軸に部品を固定する場合、ねじ先の形状に注意
軸に傷を付けたくないなら、軸側に90度の穴(皿穴)をあけておいて、とがり先(先端は少し平らです)のねじで固定するとよいでしょう。
これなら、修理時などねじが軸を傷付けて軸が抜けないという事が避けられます。
とがり先の2本使用は皿ねじと同様、緩みの原因になりますから避けます。
逆に頻繁に位置を調整するなら、丸先を使うとかも良いのですが、ねじを柔らかい材料で、軸を硬い材料でという配慮が必要でしょうね。
一度軸に傷がついてしまうと、その傷にねじの先が食い込み、微調整はまず出来なくなります。

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・ステンレスねじの締結は注意が必要
ステンレスの部材にステンレスのねじを締めていくと、固着して締めることも緩めることもできなくなることが多い。
特に真空機器では顕著です。
可能であれば材質違いにする、グリス(真空機器では真空用のシリコングリスなど)を塗布するなどの配慮が必要です。

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・管用ねじの新旧呼称について
新JISに切り替わってから長いですが、未だに旧JISでの呼称が使われています。
その為、新旧の呼称で時々混乱が生じます。
新旧対応表を作りましたので、整理しておきましょう

管用ねじの新JIS(ISO)と旧JIS対照表
ねじの種類  新JIS(ISO)規格(呼び)  旧JIS規格 
管用
 テーパーネジ 
 テーパー雄ねじ  R PT
 テーパー雌ねじ  Rc PT
管用
 平行ネジ 
 平行雄ねじ  G (AまたはBを付ける) PF
 平行雌ねじ  G PF
 平行雌ねじ  Rp PS

注1:管用平行おねじ(G)は、有効径の許容差によって、 A級、B級の等級があります。(例:G1/4B)

注2:管用平行雌ねじの Rp(PS) は、 テーパーおねじと組み合わさる平行雌ねじです。
Rp (PS) ねじといえば 雌ねじ の事を指し、Rp (PS) の雄ねじはありません。
テーパー雄ねじが捻じ込まれる為の平行めねじですので、テーパー雄ねじが、根元まで入ってしまっては、シール出来ません。
そこでテーパー雄ねじが途中で止まるように基準から比べて、許容差範囲の中でもマイナス方向にとってあります。

俗に言う鉄ソケットやステンレスのストレートソケットのねじがRp (PS) ねじです。

注3:管用平行雌ねじの G(PF) は、平行ねじ同士を組み合わせるときに使います。
G(PF)ねじには、Rp(RS)と違い 雄ねじ と 雌ねじ があります。
平行ネジ同士の結合なので 基準より許容差範囲内でプラスの方向になるような作りにしてあります。
つまり、G(PF) ねじは Rp(RS) に比べて若干ですが、ねじ径とピッチが大きめに出来ています。

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まだまだ、ねじの使用法の注意すべき事は多いと思いますがこれくらいに。


(26 Sept 2007 初出)
(07 Febt 2013 記事追加)
[参考文献]:日刊工業新聞社刊「機械設計イロハかるた」(上田 満 著)
copyright(c) 2011-  orbit limited.

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