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機械設計講座:機械設計者のための覚え書き
材料・加工法の雑学
0. 概要
1.SS材、素材記号の記入は正確に
2.SS400の定尺寸法
3.板材の定尺寸法
4.圧延材のロール方向に注意
5.バリ方向とスナップフィット
6.バウシンガー効果
7.薄物の穴開け、樹脂の穴開け
8.薄物の研削
9.旋削品の端面挽き残り
10.旋削品のセンター穴の可否
11.旋盤による溝入れとスリ割りフライス
12.
13.
14.
15.
16.
17.
1.0 解説

【材料編】

・SS材、素材記号の記入は正確に
まずは、SS材とは?と言う一般常識ですが、「一般構造用圧延材」の意です。
SS材と言えば代表的なものはSS400ですが、この記号の意味は
最初のSはSteel(鋼)、次のSはStructure(構造)、最後の400は引張り強さを示し、この場合は400N/mm2以上であると言うこと示しています。
SS材の規定で重要なのはこの引張り強さくらいで、その他はリン(P)と硫黄(S)の含有量が0.05%以下くらいしか決まっていません。
 今の若い人は知らないかも知れませんが、昔はSS41という記号で呼ばれていました。
古い図面では今でも見かけますか?

 さて、SS材と言うのは、素材そのまま、もしくは少しの加工のみ(穴明け、ねじ、溶接など)で使用するのが定石です。
これは表面の硬化層を削ってしまっては強度的にもったいないのと、表面を変に削ると素材そのものが変形する恐れも有るからです。
特にみがき材は、精度・面粗度が良好ですから、なるべく素材そのままで使いたい物です。(どうしても必要な場合は最小限度の切削量で)

 ただし、図面に支持する場合は一寸注意が必要です。
昔、小さな機械のベースにSS材のみがき鋼を使おうと思い、表面は並仕上げを指定しました。
その時、うっかり材料をSS400とだけ記入してしまったところ、黒皮の物が組み付けられていました。
ここは正しく「SS400D」と記入すべきでした。「-D」は「みがき引き抜き材」を意味します。
 SS400Dには、丸棒、角材、六角といろいろありますし、正確にはただの引き抜き材なのか、丸棒なら引き抜き後研削品なのか、も指定した方がよいでしょう。
研削品ならh7〜h9、引き抜き材でもh8〜h10が指定できます。
平材でもh12、h13程度が指定可能です。
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・SS400Dの定尺寸法
参考までにSS400Dの平材は下記のサイズがあります。
材料屋さんに教えてもらったものです。規格表を確認していません。(参考程度に)

板厚 (mm)高さ(mm)
  3 9・13・16・19・22・25・32・38・50
  4.5 9・13・16・19・22・25・32・38・50
  5 13・16・19
  6 9・13・16・19・22・25・32・38・44・50・60・65・75・70・100
125・150・200・250・300・400
  8 25・30・32
  9 12・13・16・19・22・25・32・38・44・50・60・65・75・90・100
125・150・200・250・300・350・400
  10 25・30・32・38・40・50・60・65・75・90・100
  12 16・19・22・25・32・38・44・50・60・65・75・90・100・125・150
200・250・300・350・400
  16 19・22・25・32・38・44・50・60・65・75・90・100・125・150・200
250・300・350・400
  19 22・25・32・38・44・50・60・65・75・90・100・125・150・200・250
300・350・400
  22 25・32・38・50・65・75・90・100・125・150・200
  25 32・38・50・60・65・75・90・100・125・150・200・250・300・350・400
  30 50・65・75・100・125・150・200
  32 50・65・75・100・125・150・200・300
  38 50・60・65・75・100・125・150・200
  50 65・75・100
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板材の定尺寸法
 私の失敗談です。
大きな板金の箱物を、色々と打ち合わせをする内に少し大きくして図面を書き、それで安心していました。そしたら工場から「ウチじゃ加工できないよ!」と怒られました。
よく聞くと「タレットパンチにかけるつもりだが、展開寸法が一つ上の(板材の)サイズにしないと収まらない。しかし、それでは工場のタレパンに入らない」ということだったのです。
 図面を書く時には、試作と量産での作り方の違い、製作数、素材寸法等を絶えず意識しておかないといけません。
 勿論、そんな大きな部品ではなくても、一枚の板から多数を有効に材料取りする関係からも素材の定尺寸法は絶えず意識しておかないといけないでしょう。
 その場合「抜きさん」の寸法はいくら必要か、も考えないといけません。
「最小さん幅」についてはJIS(B5013)にも規定があります。

 参考までに鋼板の規格寸法は、
  914×1,829   (3×6サブロク)
  1,219×2,438  (4×8シハチ)
  1,524×3,048  (5×10ゴトー)
 あと、
  1,524×6,096 (これはなんて呼ぶのか不明)などというのもあるそうです。
 ついでにブリキ板は
  508×711.2  (20インチ×28インチ)
 などです。
 銅板、黄銅板、アルミ板などはまた違う定尺寸法ですが、省略。
 それ以外にも型鋼とか押し出しアルミの寸法とかも規格があります。
 それらをうまく使う配慮が必要です。
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・圧延材のロール方向に注意
圧延鋼板などにはロール目方向があります。 図(a)を参照

プレス物で直角曲げや、板材をばね材として使用するときは、板材のロール方向(圧延方向)を曲げに直交するように指定しないと割れたり、折れたりします。柾目の木と同じと考えて下さい。 図(b)を参照

うっかり記入を忘れてしまいますから注意。
勿論、SS材も同様です。
弁当箱の様な形の場合はその中間をとって、曲げ方向に対し45度を指定します。 図(c)を参照
   図: ロール目方向
      図: ロール目方向 
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・バリ方向とスナップフィット
 ロール方向と併せてよく忘れられるのが、バリ方向(プレスの抜き方向)です。(カエリ面とも言います) 図(a)(b)を参照

差し込むだけで固定するスナップフィットのスイッチなどは、これを間違えて、ポロポロ抜けるという事故を見たことあります。
プレスのダレ面にはスナップフィットの爪が引っかかりにくいのです。

それに限らず、電子部品のブラシ(摺動子)などもバリの方向に気を付けないと相手部品に傷を付けたりしますから注意が必要です。
   図: バリ方向
      図: バリ方向、ダレ面 
このプレスの抜き方向指示は、板金物では色々と悪さしますから良く考えて指定します。
バリそのものが気になる量産部品では”バリ取りバレル加工を行う”等を指定します。

<追記>
鋭角曲げを行う際、山折り面側にバリ面があると曲げ加工時にクラックが入ることがあります。
振動する製品で、長期間使う部品などではそこから疲労破壊することがあるので、曲げの最小内Rを大きく指定するか、ダレ面側を山折り面側に指示する等、図面指示を間違えない様、注意が必要です。

更にバリ方向指示が必要なケースとして、その面をワークが摺動する場合があります。
当然、バリ面側をワークが移動するのはNGですよね。
それ以外には、ユーザーが触る部品や電線類などの出入り穴などでも注意が必要です。
その場合は「この部分を電線が通るのでバリ不可」「触手部につきバリ不可」と言った図面指示が必要です。
「バリ不可」と言っても量産品ではどうしても残るので、限度見本等を作る必要があります。
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・バウシンガー(Bauschinger)効果
 聞き慣れない言葉かも知れませんが、
「一度ある方向に塑性変形を与えたのち、逆方向の荷重を加えると、再び同方向に荷重を加えたときより塑性変形が低い応力でおこる効果」です。
別の表現をすると、
「あらかじめ一方向に荷重を加えたとき、次に逆方向に荷重を加えると比例限度は低下する」
とも言えます。
例えば、あらかじめ圧縮荷重を受けた変形した部材に、次に引っ張り荷重を加えると容易く変形する訳です。
スプリングバックとは、違います。
当たり前の事の様ですが、意外と気にしていない人が多いように思います。どうでしょうか?
  
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【加工編】

・薄物の穴開け、樹脂の穴開け
 加工屋さんに全て任せておけばちゃんと加工してくれますが、設計者が手直し等でこう言った加工をしてケガをする事が多いので注意すべき事を書いておきます。
普通、薄い板物に穴開けする場合は一文字ドリル(ドリルの刃先を一文字研ぎ(ろうそく研ぎ?)したもの)を使うとバリも少なく、食い込んだりしないので良好な穴開けができます。(と教わっています)
 また、樹脂に穴開けすると直ぐにドリルが食い込んでしまい危険です。
ドリルの切れ刃を砥石などで少しなまらせて使うと、食い込みも少なく安全に作業が出来ます。
加工現場で指導を仰ぎながら作業するのが一番ですけどね。
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・薄物の研削
 薄い板物に研削仕上げの指示のある物を見たことがありますが、一般には薄物に研削仕上げをすると、反りが出るので裏返して、また研削。また反りがでるので又裏返しの繰り返しになってなかなか思うものが得られません。
板材でもかなり精度のある物が入手が可能ですから、そういった素材を上手く利用するように設計を考える必要があります。
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・旋削品の端面挽き残り
 丸物の加工を旋盤で行うと、バイトとワークの芯出しを正確に行っても「挽き残り」は出てしまいます。(量産では特に) 図(a)を参照

これを絶対に駄目と言ってしまうと後加工とか面倒な事をしないといけなくなります。

ところが、これを例えば「挽き残り0.2まで可」と指示するだけで後加工不要になったりします。 図(b)を参照

この辺は設計者が1行注記を書くか書かないかの差なので、よく考慮して出図したいものです。
   図: 挽き残り
      図: 旋削加工、挽き残り 
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・旋削品のセンター穴の可否
 同じく、旋盤加工ではセンター穴があってもよいのか、駄目なのかを明確に図面に指示しておかないと加工現場では、わざわざ「捨てボス」みたいな物を付けて加工してから突っ切りバイトで切断、などという面倒な事をしないといけなかったりします。 (右図を参照)
センター穴は測定の規準としても使えるので、よほどの理由がなければ、残しておいた方が良いでしょう。
   図: センター穴
      図: 旋削加工、センター穴 
   図: 捨てボス
      図: 旋削加工、捨てボス 
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・旋盤による溝入れとスリ割りフライス
 ねじのついた小さな軸部品の先端に、マイナスドライバーを掛ける溝を加工する事がありますが、普通軸部のみ旋盤で加工し、溝加工を別工程で加工と言うように分けていると思いますが、工数が増えて単価アップにつながります。
こう言うときは、旋盤の主軸をロックして、刃物台を往復させて(シェーパーの様に)加工すると簡単に溝加工が出来ます。(量産には向かないかも知れませんが・・・)

 上記の様な方法ではなく、普通にスリ割りフライスなどで溝加工するのであれば、規格になってる幅寸法を無視すると加工が面倒になります。
この寸法については、自社工場の標準工具の在庫等を確認してみて下さい。
   図: 旋盤によるスリ割り加工
      図: 旋削加工、スリ割り加工 
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・ドリル径の種類

 同様にドリルの径も注意が必要です。
JISでは、径0.1〜13までは0.1刻みでありますが、それ以上のドリルは 0.5飛びの径になります。
あまり特殊な径のドリルは特注扱いになりますから、よく考えて径を指定します。
また、六角穴付きボルトの沈頭穴の加工も、沈めフライス等で加工することが普通でしょうから、安易に穴径を指定するとそれらが使えなくなりますので同様に注意します。

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・ドリルの先端角度

 ドリルの先端角度がいくらなのか?知らない人はいないと思いますが、普通のドリルでは118度です。
ただし、これは標準ドリルの話なので、鋳物等に加工するドリルでは、わざわざ90度に変更して使うこともあるので一概には言えません。
ボルトの先端が当たる相手部品の逃げ穴に120度と指定してある図面を見かけたことがありますが、特に意味がなければ118度指定の方が標準ドリルが使えてよいでしょう。
尚、もみ付け穴にはスターティングドリルと言って、先端角135度のドリルを使用すると正確に位置決め出来、穴の直進性が良いそうです。
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・リーマのテーパー部の長さ

 リーマは比較的簡単に精度の良い穴が得られるので、図面によくリーマ穴指示をすると思います。
但し、普通のリーマは先端部にテーパー部が必ずありますので、メクラ穴に加工するときはこの部分の寸法を見越して深さ指示をしないと、挿入物が最後まで入れられないという問題が起こります。
手持ちの工具カタログを見ると、ハンドリーマではこのテーパー部の長さが、(メーカによって違いますが)
  直径3〜4mmでは8mm
  直径4.5〜5mmでは9mm
  直径5.5〜6.5mmでは10mm
  直径7〜7.5mmでは11mm
と言うようにかなり長いテーパー部がありますので注意。
もちろん、メクラ穴にリーマー加工というのは特殊なケースなので、普通は問題にならないでしょう。
尚、チャッキングリーマ(機械作業用リーマ)では先端に45度の面取りがついています。

 蛇足ですが、JISの規格では穴の仕上がり公差はH7になるように規定されています。(リーマそのものは m5公差が一般的)
テーパー穴  管用ねじのテーパー穴は旋盤で加工する事もありますが、専用のテーパードリルが市販されていて、それを使うことが多いと思います。
ですから、おかしな寸法や形状を指定するとそのドリルが使えない事がありますのでドリルのカタログ等を一度見ておくとよいでしょう。
例えば、先端のドリル径がいくらで長さはいくらなど。

同様にテーパーエンドミルの角度もカタログに載ってますので、支障がないのなら、その角度の中から選ぶようにします。
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・ノック穴の空気逃げ
 ノックピンを打つとき、ノックピン穴がメクラ穴の場合空気が抜けないため後で問題を起こすことがあります。 図(a)を参照
出来れば通し穴か、空気抜きの小さな穴を設けておくことが大事です。 図(b)、(c)を参照

また、こういう穴が無いとピンを抜くときに大変な苦労をする事もありますので、その点を考慮して穴の指定をします。
この穴が開いていれば反対側からドリルロッド等で叩き出せます。
   図: ノックピン穴
      図: ノックピン穴 
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・研削コーナーの逃げ
 スライド部のガイドや、治具の位置決めコーナーなどを研削仕上げすると、隅にはどうしても砥石のRがついてしまいます。 図(a)参照

これを避けるためにはフライスなどでコーナー部をえぐる様に逃げ溝加工をします。
図(b)の様にまっすぐな逃げと図(c)の様に45°傾けた逃げなどがあります。

この時、それらの図面指示しておかないと、コーナーRはどれくらい許されるのか?逃げ溝の加工が許されるのか?が不明なので加工現場で困ることになります。

   図: 研削加工の加工逃げン穴
      図: 研削加工の加工逃げ 
この様なの逃げは、研削に限らずねじ加工の不完全ねじ部を嫌う場合などにも必要ですので、設計者はよく考慮して図面を書かないといけません。

「加工現場で判断に迷うような図面を書くな」と言うことです。
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・ばねのフックの曲げ内R
 ばねは振動するものですし、伸び縮みを繰り返すため疲労破壊が避けられません。

ばね本体は皆さん考慮して計算したりしますが、意外とフックの根元の曲げ内Rまでは指示して無い図面を見かけます。

フックの曲げ内Rは最低でも線径の1〜2倍程度(以上)とっておかないと、フック折れが多発したりします。



   図: フックの曲げ内R
      図: フックの曲げ内R 
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(12 Nov.2008)加筆、図追加等

[参考文献]:  社刊「   」(    著)
copyright(c) 2011-  orbit limited.

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