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機械設計講座:機械設計者のための覚え書き
ねじのゆるみについて
0. 概要
 読者の方から、「ねじの雑学」で書いた内容について質問がありまして、メールで回答したのですが、何かの参考になるかと思いコンテンツにまとめました。
参考程度に見て下さい。
1.0 解説

ねじよる締結とは、ねじの締付けにより、ねじには引張力(軸力)が、被締結体には圧縮力がそれぞれ生じ、お互いに釣り合っている状態と考えられます。
そしてねじは軸力により発生した摩擦力がねじ山に働き、ねじを緩ませない様にしていると考えるべきです。
ですから「ねじがゆるむ」とは軸力低下が主因と考える必要があります。
そして、この軸力は、締付体に外力等が作用しない限り低下しないはずですが、色々な原 因でこの軸力が低下した結果「ゆるみ」となります。

ねじの「ゆるみ」を考える時、次の二つのケースが考えられます。
1.ねじがゆるみ方向に回転して緩む「回転ゆるみ」
2.ねじが回転しないでゆるむ「軸力低下ゆるみ」

では、それぞれのケースについて考えてみましょう。

1.1 [回転ゆるみ]

・振動などでナットがもどり回転して生じる「ゆるみ」は「回転ゆるみ」です。
・ねじ軸周りのモーメント荷重による「ゆるみ」も「回転ゆるみ」を引き起こします。(例えば、車のホィールを止めているナットなど。)


 これらの対策として、菊座金やばね座金は締結面に食い込むので回転ゆるみを防ぐと考えられています。(私はその効果には懐疑的です)
また、回転方向に対して「逆ねじ」にしたり、「ねじロック」等の接着剤で固めたりもしています。
しかし、逆回転が防止できればゆるみは生じないでしょうか?
答えは否ですよね。

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1.2 [軸力低下ゆるみ]
・座面陥没によって生じるゆるみは「軸力低下ゆるみ」です。
・温度変化によりボルトが伸び、結果として「軸力低下ゆるみ」となる場合もあります。
・外部力の繰り返しにより微動摩耗が発生し、部材の「痩せ」となって「軸力低下ゆるみ」となる場合もあります。

 ボルトまたはナット座面の単位接触面積あたりの軸力が大きいと被締結物の表面が座面に接するところで環状に陥没し、ボルトが張力を失い、ナットが回らないまま締付け力が低下してゆるむ事があります。
例えばアルミ材や樹脂を鋼製のねじで締結している場合はこの現象が顕著です。
これを避ける為に平座金が多少は効果的です(受圧面積が増えるから)。
ただ、締結部材が固い鋼材の場合は、返って柔らかい平座金の陥没が「軸力低下ゆるみ」を引き起こすことにもなりますので、座金の材質に注意が必要です。(高剛性座金を使用するなど)

この様なことから、私は「ゆるみ止め」対策と称して安易に「ばね座金」などの座金類の使用には懐疑的です。
経験から言って、気休めか却って「ゆるみ」の原因になることもあると見ています。
それは、折角高張力のボルト、ナットを使っているのに、間に柔らかい部材(座金)が介在すれば軸力の低下となりゆるみ止めの効果を弱くすると言うことです。
これは、次のような説明で理解できるのではないでしょうか?
ボルトも座金も、加えて被締結体も弾性体ですから、一種のばねと考えられます。
ご存知と思いますが、2つのばね(ばね定数はそれぞれk1、k2とする)を直列につないだ場合、そのばね定数Kは、
K = k1×k2/(k1+k2)

となりますから、例えばk1=1、k2=0.8だとするとKは0.44と半減します。
それ故に一概に軸力低下ゆるみを起こしやすいとは言えませんが、それだけ振動には弱くなりますよね?


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1.3 [初期ゆるみ]
 最後に、軸力低下ゆるみの一種として、なじみによって生じるゆるみ「初期ゆるみ」があります。
ねじ締結体の接触部における「あらさ」、「うねり」、「形状誤差」などが存在しますが、締結による局部的な塑性変形により軸力が低下します。
いわゆる「へたり」と呼ばれるもので、普通は締付けの際およそ完了するのですが、使用中に作用する外力の蓄積によってさらにいくぶんか進行します。
その為、タイヤのナットなどは「増し締め」が必要となります。
1.4 [補足:締め付けトルクと軸力の関係]
 ボルト材質を考えて無理の無い軸力(締め付け力)を発生させるには、締め付けトルクはいくらくらいにすべきでしょうか?
これらも、基本的な計算式が力学的な釣り合いから求められます。
詳しくは下記リンク先をご覧下さい。
締め付けトルクと軸力の関係

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(30 Apr. 2009 初出)
(05 Feb. 2013 補足追加)

[参考文献]:日刊工業新聞社刊「機械設計」2007年1月号(ねじ締結体の技術動向と設計法)
copyright(c) 2011-  orbit limited.

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