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機械設計講座:機械設計者のための覚え書き
空気圧回路の基礎知識(1)
0. 概要
よく使われる機械要素に空気圧機器がありますが、初心者にはカタログを見ても何のことなのか判然としないことが多いと思います。

今回は高圧空気の発生に必要なコンプレッサーとその周りの付属機器の説明です。
1.0 解説
[高圧空気の発生に必要な機器]

・エアーコンプレッサー
空気圧機器を動かすには高圧空気が必要です。
まず、エアーコンプレッサーで高圧空気を発生(最大7〜8kg/cm2=0.7〜0.8MPa程度)させます。
ここでコンプレッサーの選定において、一番に必要な要素は吐出空気量だと思います。
いくら高付加価値のコンプレッサを買っても、吐出空気量が足りなければ機械は安定して動けません。
ちなみにコンプレッサの吐出空気量と言うものは、コンプレッサが1分間に吐出す圧縮空気を大気圧状態に換算した時の体積です。これはすなわち、コンプレッサが1分間に吸込む空気量だとも言えます。

ではどの様にしてこの吐出空気量を決定したらよいのでしょうか?
高校の化学で学ぶと思いますが、理想気体の状態方程式という物があります。

PV = mRT

P:圧力(Pa) V:気体の体積(m3) m:質量 R:ガス定数(乾燥空気は、R=287[J/(kg×K)]) T:絶対温度(K°)
と言うものです。
上の式の右辺の値は、コンプレッサーが吸い込む空気とコンプレッサー出口の高圧空気では同じですから定数と考えて問題有りません。
ですから、

P1×V1 = P2×V2
V1 = V2×P2/P1

P1:大気圧 V1:吸い込む空気の体積 P2:高圧空気の圧力 V2:高圧空気の体積

つまり高圧の体積に圧力比をかければ求まることになります。
例題:
内径φ50、ストローク100mmの複動形エアシリンダーを、空気圧 0.4 MPa(4kg/cm2)で1分間に10往復させる場合の必要吐出空気量を計算してみましょう。(ロッド分の体積は無視して計算)

V2 = (π×0.05×0.05/4)×0.1×2×10 = 4×10-3 (m3

これに圧力比(ここでは4)をかければ吐出空気量は 16×10-3 (m3)と求まります。
1×10-3 (m3)と言うのは1リットルですから、16リットル/分以上の吐出空気量のコンプレッサーが必要となります。(余裕をみて計算値の2倍かそれ以上は最低でも必要です)

実際の装置では、複数のエアーシリンダーが色々なタイミングで動きますから、1サイクルの中で必要な空気量とその装置の1分間当たりのサイクル数をかけて求める必要があります。

・アフタークーラー
この状態での高圧空気は熱と大気中の水分を持っていますから、アフタークーラーを使ってコンプレッサからの高温圧縮空気を冷却し、含まれている水分を凝縮分離します。
アフタークーラーには冷却方式の違いで空冷式、水冷式があります。
・エアドライヤー
更に冷凍式エアドライヤーなどを使ってエアーを乾燥させます。
エアードライヤを使わずそのままエアーを使用すると、エアーの中の水分により錆が発生したり、水滴によってシリンダ、バルブ、各種機械・補器などに悪影響を与え、トラブル発生や寿命の低下を引き起こす原因となります。
小規模の工場などでは、下の写真のアフタークーラー、エアードライヤーの様な立派な物を使わないで、単純にメインラインフィルターとミストセパレーターだけで代用することも有ります。(あまりお薦めは出来ませんが)
エアードライヤーには冷凍式以外にも、ヒートレス式、メンブレン式などがあります。
・エアータンク
上記の高圧空気発生後、空圧回路の圧力変動を抑えるためにエアータンクをつないで駆動空圧源とします。
平均値として吐出空気量は満たしていても、ある時間だけ突出して空気を消費する場合、そこの時間だけ圧力の低下を来しますから、それを防ぐためにはエアータンクの容量の検討が必要です。
基本的な計算方法は、上のエアーコンプレッサーの必要吐出空気量の計算と同様ですので、省略します。
注意すべき事は、エアーコンプレッサーはある高圧側の圧力(例えば0.7MPa)でモーターが止まり、低圧側の圧力(例えば0.5MPa)でモーターが回り出すと言うことです。
すなわち、最悪供給圧力が 0.5MPa しか来ていないのに、ある時だけ大量に空気を使用すると(例えばエアブローなど)一気に圧力が設計圧力(例えば0.4MPa)を下回る危険性があると言うことです。
ですから、エアータンク容量の計算にはそこの配慮が必要です。
・その他の機器
高圧空気に含まれる油・水・異物などの不純物を除去するためにメインラインフィルターを追加したり、ミストセパレーターや更にはマイクロミストセパレータなどを付加する事もあります。

以上で機器を駆動させる工場側のエアー源が確保できたことになります。

注記:以下の写真は(株)日立産機システム社SMC(株)社日東工器(株)社のサイトから流用しました
エアー
 コンプレッサー

アフタークーラー
エアードライヤー
エアータンク
代表的なエアーコンプレッサー(日立ベビコン) アフタークーラー(SMC社) エアードライヤー(SMC社) エアータンクの例(SMC社)
[装置側で必要な機器]

・F.R.Lユニット
 装置側に必要な機器としてF.R.Lユニット(いわゆるエアー3点セット)があります。
すなわち、フィルター(ゴミ等の除去)、レギュレータ(工場側の高圧を減圧して適正圧力にする)、ルブユニット(エアーの中に潤滑油を微量混合し、空気圧機器の潤滑を良くする)の略です。
最近は無給油タイプのエアーシリンダーが主流になっていますので、ルブユニットを取り付けないF.Rユニットや、ルブユニットの替わりにマイクロミストセパレータを組み込んだものもあります。
用途に応じて選定します。
当然ですが、ユニットの最大流量も余裕のある物にすることが大切です。
尚、レギュレーターでの装置側での圧力設定は0.4〜0.42Mpa(=4〜4.3kg/cm2)程度にします。
これは上記エアーコンプレッサーの説明にもありますように、低圧側の圧力(例えば0.5MPa)でモーターが回り出す様に設定されていますので、それよりも低い圧力にしておかないとレギュレーターが適正に働かないからです。

全くの蛇足ですが、このエアー3点セットの給気側(写真および図の左側)にはエアカプラーのオスをつないでおきます。
つなぐエアーホースの端はメスのエアーカプラーになります。
これを逆にすると、ホースが外れた時にエアーが噴出してしまいますし、装置側では残圧を抜くのが困難になります。
ホースの端はメスカプラー、装置入り口はオスカプラーが原則です。
F.R.Lユニット
F.R.Lユニット
図記号

エアーカプラー
    (オス)

エアーカプラー
    (メス)

F.R.Lユニットの例 F.R.Lユニットの図記号 エアーカプラー(オス) エアーカプラー(メス)


[配管図記号]

参考までに、今まで紹介した機器の配管図記号を載せておきます。
エアーコンプレッサー
アフタークーラー
エアードライヤー
エアータンク
エアーコンプレッサー配管図記号 アフタークーラー配管図記号 エアードライヤー配管図記号 エアータンク配管図記号
ミストセパレーター
エアーフィルター
オートドレイン
マイクロミストセパレーター
ミストセパレーター配管図記号 エアーフィルター配管図記号 オートドレイン配管図記号 マイクロミストセパレータ配管図記号

[参考]:エアーコンプレッサーからF.R.Lユニットまでの配管図

あくまで参考です。用途によりメインラインフィルター、マイクロミストセパレータなどの付加が必要な場合があります。

エアーライン配管図
(9 May. 2009 初出)

[参考文献]:  社刊「   」(    著)
copyright(c) 2011-  orbit limited.

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