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機械設計講座:機械設計者のための覚え書き
ねじの強度計算
0. 概要
ねじの強度計算について
ねじの強度を計算するには
荷重のかかり方や、締結用か移動用かによって計算方法が変わります。
それぞれの場合について、具体例を交えて解説します。

ただし、全ての式の意味を理解する必要はありません。
ねじの強度計算においては、
1.引張り(圧縮)荷重によりねじの谷径部分で破断する場合
2.ねじ山が破断する場合(ねじ山面の許容面圧を一定値以下にする)
3.圧縮(引張り)応力とねじりモーメントが同時に作用する場合
の3つの計算方法があることだけ覚えておけば十分です。
計算が必要になった時に、このページを見て下さい。
1.0 解説
■ 1.1 引張り(圧縮)力だけを受ける場合
図: 例題
三角ねじのボルトが引張り(圧縮)力:Pを受けて、ねじの谷径:d1部分(断面積:A)で破断する場合、 次の関係式が成り立つ
σt = P/A ----------(1)
または
P = σt・A ---------(2)
ここで断面積Aは、
A = π・d12/4 --------(3)
である。ただし、σt:引っ張り許容応力

許容応力の値は[資料室]にある「金属材料の許容応力表」の「引張り」の項、b欄より決める。

しかし谷底の径をその都度、規格表から読みとるのは不便である。
そこで(3)式を変形することにする。
ねじの呼び径をdとすると、
A = π・(d1/d)2・d2/4 -------(3')
(d1/d)2の値はねじの大小によって変わるが、その最小値は0.7であることから、
A ≒ π・0.7・d2/4
  ≒0.5・d2
 ----(3'')
結局、(1)、(2)式は
σt ≒ P/(0.5・d2) -----(1')
または
P ≒ σt・0.5・d2 -----(2')
と表せる。
荷重と許容応力が決まっている場合、必要なボルトの呼び径は次式より求まる。
d ≒ √(P/(0.5・σt) -----(4)

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■ 1.1:補足 引っ張り加重と同時にねじりモーメントが加わる場合

例えば、フックに荷重を掛けて持ち上げる時に、荷重がねじれたりする場合などは、許容応力に
更に0.75を掛けた値を許容応力として計算する
必要がある。
それ以外、使用する式は上記と同じ。


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■ 1.2 ねじ山の破断を考慮して、ねじ山数を求める場合
図: ねじの重圧面積

ねじ山数 n は、ねじ山の曲げ、剪断およびねじ山の「接触面圧力」などを考慮して決める必要があるが、接触面圧力から求めた山数が最大になるのでこれを安全側として採用する。


接触面圧力を q とすると、接触面積を S として、
q = P/S ----------------(5)
となる。
接触面積はねじ1山の受圧面積を s とすると
S = n・s
 = n・(d2-d12)・π/4
 = n・(1-(d1/d))2)・d2・π/4
 --------(6)
ここで(d1/d)2=0.7とすれば、
S ≒ 0.24・n・d2 ----------(6')
(5)式に上記(6')式を代入すると、
q ≒ P/(0.24・n・d2)
つまり
q ≒ 4.2・P/(n・d2) ----------------(5')
となる。
設計において、求めたいのはねじ山の数 n であるから、上式より、
n = 4.2・P/(q・d2) -------------(7)
として求まる。

尚、上記の接触面圧力をどの程度の値にするかであるが、

締結用ねじにおいては、[資料室]にある「金属材料の許容応力表」の「引張り」の項、c欄より選ぶ。
移動用ねじにおいては、[資料室]にある「軸受け材料の許容圧力」にて決める。
のが良いであろう。


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■ 1.3 圧縮(引張り)応力とねじりモーメントが同時に作用する場合の相当圧縮応力

1,1:補足 のケースと似ているが、この計算は例えばジャッキで重荷重を持ち上げるとき、または締結ボルトを締め付けた場合を想定して欲しい。

まず圧縮(引張り)応力であるが、
σc(=σt) = P/A -------------------(1)
であることは同じである。次に、ねじりモーメントであるが、
τ= M / (π・d13/ 16)  ----------(8)
ここで、π・d13/ 16「断面二次極モーメント」である。
* 尚、締結ボルトの場合の軸力(上式の P )、モーメント(トルク) (同じく M )は座面の摩擦によるモーメントも計算する必要があるので注意が必要である。
(詳しくは「締め付けトルクと軸力の関係」を参照のこと)
ここで、圧縮応力とねじりモーメントが同時に作用する場合の相当圧縮応力 σ は、バッハ氏の式によると、
σ= 0.35・σc + 0.65・√(σc2 + 4・(a0・τ)2 ---(9)
として求まる。
ただし、a0 = σca/(1.3・τa)
σca:許容圧縮(または引張り)応力
τa :許容ねじり応力
とする。
以上の計算で求めた相当圧縮応力 σ
が許容応力以下であれば安全と考えて良い。

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[例題]1.

図: 例題
図示の様に、荷重800kgf(7848N)を支えるボルトの呼び径 d およびナットの高さ h を求める。
ただし、素材は軟鋼材とする。

[解答]

上記の(4)式に P=7848N 、引張り許容応力の値は[資料室]にある「金属材料の許容応力表」の b 欄より 60 N / mm2 を採用すると、
d≒16.2
JIS規格からは M18 か M20 となるが、ここではM20を採用。

さらに(7)式に P=7848N 、d = 20mm、q = 30 N / mm2 を採用すると、
n = 4.2×7848/(30×202)≒2.75
JIS規格によれば、M20並目ねじのピッチは 2.5 mm なので、ナットの高さhは、
h = 2.5×2.75≒7
となる。

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[例題]2.

図: 例題

別項、[ねじの推力、効率、トルク計算]の例題 と同じジャッキ、
すなわち、
「呼び径 40mm の 30°台形ねじ(P=6mm、有効径d2=37mm)を用いたネジジャッキがある。 このジャッキで荷重 P = 4900N(500kgf) を持ち上げる場合」(ただしねじの谷径は 34 mmとし、ナット・ねじ共に軟鋼材とする)

この場合の相当圧縮応力σとナットの高さ h を求めよ。

[解答]

トルク(すなわちモーメント)は 18.9 [N・m] と求まっている。(例題の解答を参照)
このモーメント M によって、ねじ軸に発生するねじり応力は、(8)式より
τ= 18.9×1,000 / (π・343/ 16) = 2.45[N/mm2]
次に圧縮応力は(1)、(3)式より、
σc = 4900 / (π×342/ 4) = 5.4[N/mm2]
ここで、圧縮応力とねじりモーメントが同時に作用する場合の相当圧縮応力 σ を、(9)式から求める訳だが、
[資料室]にある「金属材料の許容応力表」の b 欄から、
圧縮許容応力 σcaの値は 60 [N / mm2] 、
ねじり許容応力τaの値は 40 [N / mm2] を採用すると、
σ= 0.35×5.4 + 0.65・√(5.42 + 4・(1.15×2.45)2)
 ≒ 7 [N / mm2]

となり、十分に安全な値であることが分かる。

次に、ナットの高さの計算であるが、
許容面圧は、移動用ねじなので、[資料室]にある「軸受け材料の許容圧力」から
2,94 [N / mm2]を採用し、(d1/d)2の値は (34 / 40)2 ≒ 0.72 であることから
近似的に(7)式を使っても差し支えないとして、
n = 4.2×4900 / (2.94×342) ≒ 6
となり、ナット高さ h
h = 6×6 ≒ 36 [mm]
すなわち、36mm以上の高さが必要である。
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(01 OFeb 2013)初出
(14 OFeb 2013)記事追加

参考
文献
理工学社刊 「JISにもとづく機械設計製図便覧」 大西 清(著)
日刊工業新聞社刊 「機械要素の設計基準」 宋 孝(著)
   社刊  「   」    (著)
copyright(c) 2011-  orbit limited.

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