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2.実際の設計の流れ:[フェーズ0:要件定義・仕様の整理]
・要件定義とは?・・・ その機械に必要とされる種々の要求項目をまとめること
・仕様をまとめる手順は?・・・ 漏れが無いようひな形に沿ってチェック
・仕様書にも2種類ある・・・ ”発注側の仕様書”と”設計の仕様書”


慶応大学の 佐藤 豪教授の定義では、

「設計とは目標に適合したものを、抽象的な概念から出発して、具体的な”物” やシステムとして創造する行為である」

だそうです。
では、具体的にはどういう手法で設計すればよいのでしょうか?
また、設計経験の浅い人がどうやったら設計手法を身につけることが出来るようになるのでしょうか?
それに対し、
「設計は”勘、経験、度胸”のKKDが必要なんだ」とか、「設計とは悟りながら身につけていくもの」
と言う声はよく聞きます。

しかし、それでは新人達は途方に暮れるしかない。
そこで、前回説明しましたSEのフェーズ表にならって、私なり に大体の設計の流れを書いてみようと思います。
もちろん、これは「あえて体系化するならばこうなる」と言う話です。
これに拘る必要はありませんが、構想をまとめるにしても、仕様が決まらないと目的から外れた設計になりがちです。
まずは、仕様をまとめて整理し、何をすべきなのかを考えることが設計のファーストステップです。

フェーズ0:要件定義・仕様の整理

与えられた条件を明確にし、頭の中にのみこませて構想を立てる準備をします。
”発注側の仕様書”に書かれていない条件などを明確にするため別に”設計の仕様書”を内部用に作成します。
この段階では基本的な条件は全て決定されていなければいけません。
普通、発注者・依頼元が全てを把握・理解していることはまれですので、聞くのではなく聞き出す事が大事です。
間に人が入ると意図が正確に伝わらないので注意が必要です。

まず、”発注側の仕様書”に最低限必要な項目は、
1.製品(設備)の名称、開発コード
 スカンクワークスの例で言えば「ブラックバード」など。
2.製作数量 量産か試作かの別
 一台限りの機械と大量に製作する機械とでは設計の進め方が変わってきます。
 数量によっては、型を起こすか、市販品を多用するなどと方針を変える必要があります。
3.製品(設備)の概要
 何がしたいのか、何をする機械なのか、は最低限必要です。これは前述の通りです。
4.製品の概略形状
 家電製品などではデザインの指定が優先され、そこにメカを収めることが第一となります。
 工場の自動機等では、工場内の設置スペース、ワークの寸法、材質、加工位置などを聞き取ります。
 ワークの加工サンプルなどがあれば是非入手したいものです。
5.その製品(設備)に要求される性能
 コンシューマ向けの民生品では「これがこの製品のアピールポイントだ」と言うモノがあるなら、それを押さえておかねばいけません。
 自動機等の設計では、マシンタイム、稼働率、不良率などの仕様が不可欠です。
6.製品(または設備)詳細
 機械構想(こういう形で設計して欲しい、または考えていると言う案があったら叩き台として参考にします)
 電気構想(電気と機械の切り分け、電気的な制御をどこまで行うかなどは概略取り決めが必要です)
 安全対策(一般的な安全規格、業界の安全規格とかがありますので、確認します。輸出先によって異なることもありますので、輸出が考えられる場合は注意が必要です。)  動力(製品では、電池か商用電源か。自動機等ではエアーが使えるか、AC200Vが使えるかなど。自動機などの制御部はDC24Vのみと言う社内規定があります。)  見積範囲・検収条件(どこまでの設計をやるか、どういう条件をクリアすれば合格かの取り決めが必要です。)
7.納期
 最近は短納期が普通になっていますが、設計時間を無理に詰めても、検討不足によるやり直しがでて遅れては何にもなりません。)
8.予算・費用
 これによってもどういう構造の設計とするかが変わってきます。
9.その他
 民生品、生産機械問わず、海外に出る可能性がある時、その国の規格に合わせないといけないことがあります。
 自動機などでは、設置場所の確認をしておかないと搬入・設置が出来ず、工場の壁を壊さないといけないなどのトラブルになります。
 寒冷地、温暖多湿などの地域差も考慮が必要です。
 周りが田圃だと夏には虫が飛び込んできて、生産機械のトラブル要因になることがあります。
 電源周波数が違うとピッチタイムが稼げないこともあります。


これらの事は、言った言わないと言うことでトラブルになる事が多いので、文書にまとめて相手のサインをもらい、写しを渡しておくことは大切です。

以上は”発注側の仕様書”ですが、これに基づいて”設計の仕様書”を作らなければいけません。
お客さんには見せないけど、こうしたい・こうしようと言うことは設計者側でまとめなければいけません。
類似製品があれば、それを研究し、倣って決められる部分はあらかじめ決めます。

自動機等の装置設計では、類似機械の調査を参考にして概略、以下の項目で決められる範囲は決めます。

1.ワークの仕様
 ワークの最大最小寸法、他機種兼用する場合はワークの種類
 加工精度
 位置決め規準位置
 ワークのクランプ位置
2.ステーション、ユニットの決定
 まず、ワークをどう流すか(ワークフロー)を決め、所定のタクトタイムに収まるように、工程をどの様に分割するかと、ステーションの数などを決めます。
 場合によっては、作業者が入るステーションも考慮しないといけません。
 既存のユニットが使えるか、新規設計のユニットは必要かの検討をします。
3.運動部分の仕様
 最大ストローク、調整範囲、駆動力の見積、必要速度、休止時間などを決定します。
4.作業部の仕様
 高さ、広さなどを決めます。
5.概略構造
 ワーク送り(ワークハンドリング)をどうするかを決めます。
6.動力の選定
 エアー駆動にするか、カムなどを使うべきなのかを検討します。
 モーター駆動ならばその大きさ、減速機等も概略決めていきます。
 この場合、多少余裕を見ておくのが良いでしょう。小さくすることは可能ですが、後から大きくすることはかなりの困難があります。
7.フレーム構造
 溶接構造か、市販のアルミ組立フレームでいくかなどを決めます。
 試作機なら組立アルミフレームが便利です。再利用も可能です。
8.その他
 電気制御とメカ制御の範囲を決めます。構想が決まらないと決められない事が多いので、空欄でも構いません。
 チームでやるならば、ある程度の構想がまとまった時点で設計の分担も決めなければいけません。
 以上の様な事を考慮し、概略開発スケジュールも立案します。
 加工外注さんの業務の混み具合も考慮する必要があります。


全ての仕事でこれだけのことを全て文書化する必要はありません。
ただ、以上の事柄をチェックリストとして使えば、検討漏れを防ぐことは可能だと思います。
後々の事を考えれば、技術ノートにまとめておくと良いでしょう。
また、決まったフォーマットを作っておき記入していくと言うのも有効です。
(14 April 2004 作成)
(13 July 2005 加筆訂正)




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