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4.具体的な設計例:プリント基板自動検査機(仕様検討)

今回から具体的な事例を通して、いかにして構想から詳細設計に持っていくかを紹介して行きます。
また、私が現在(2004年4月現在)3DCAD(Solid Edge)をどの様に設計に使っているかも紹介したいと考えています。
(ただし、3DCADを使った設計手法に関しては、今現在も試行錯誤している段階ですので、今後ガラリと変わる可能性があります。)

さて、具体的な設計事例ですが、製造工程での作業の自動化を考えていきます。
これは機能ユニットの切り分けがしやすく、実際の設計の進め方を説明しやすいと考えるからです。

大体、設備の自動化を考える場合は、何かしら手作業で作業が行われていて、それを機械に置き換えたいというケースが多いものです。
それでは、取り上げる事例の概略要求を書いてみます。

[概略仕様の検討]

[概略仕様](架空の仕様です)

仕様項目内容
機能プリント基板の検査を自動で行う
プリント基板仕様(図1)
外形寸法50±0.2×50±0.2×t0.8±0.05、部品含み最大厚み2.5
反り   板厚含みでmax=1.5
材質   ガラスエポキシ基板
希望タクトタイム基板の合否判定検査に0.5秒かかるとして、2秒以下
測定ポイント数最大50ポイント(片面のみ)
使用プローブNP90(ミスミまたは相当品)他
その他希望事項検査部は個別に、家庭などで手動検査機として使える事

図1.ワーク外形寸法

さて、仕様を眺めてみると、その他の事項として「検査部は個別に手動検査機として使える事」が目に付きます。
おそらく、手作業にも使える機械を求めている事が推測できます。
家庭でと言うことですから、内職に使うのでしょうか?
であるなら、空圧などは使えませんし、AC200Vも使えません。AC100V限定と考えるべきでしょう。
また、検査部に限って言えば、簡単に移動が出来る様に、出来る限り軽量コンパクトに製作する事が必要です。


[概略ユニット構成の検討]

ではどの様に構想をまとめていくのがよいでしょうか?
普通に考えれば、検査機を中心に、それに基板を供給する部分、合否判定が出たら取り出し、良品は収納し、不良品はどこかに集めるという機能が必要と考えます。
であるなら、まずは手動機として検査部の構想を決め、その前後に基板供給部、合否振り分け部、基板収納部などが必要となると考えます。
また、ある程度の時間を連続稼働しないと、絶えず作業者が付いていないといけませんので、何本かの基板を収納するマガジンを持つことが必要です。
ですから、基板供給部と基板収納部の前後に、マガジン交換部が必要と考えます。
また、基板をどの様にマガジンに積むかにもよりますが、ある種のエレベータ部がマガジン交換部に小ユニットとして必要だろうと考えます。
以上の事をまとめてみましょう。

[ユニット構成一覧(案1)]
大ユニット小ユニット
1.マガジン交換部エレベータ部
2.基板供給部 
3.検査部・基板保持テーブル移動部
・接点板上下部
4.合否振り分け部・不良品排出部
・不良品収納部
5.基板収納部 
6.マガジン交換部エレベータ部

大体、この様な構成の装置になりそうだと見当が付いてきました。
もちろん、これが最終形状ではありません。この後の検討で、ユニットの追加、統合、共用などが発生します。
あくまで、この様な構成だろうか?と見当を付けたと思って下さい。

さて、次に概略の構想を考えていきましょう。
自動化を考える場合、単純に手作業を真似て、それを機械化しても自動機はできます が、あまり「手作業にこだわってはいけない」とだけここでは注意しておきます。
ただし、今回は「手動機としても使えること」 と言う条件がありますので、手作業のし易さを考えた自動化を前提として進めます。
まず、検査部の構想を考えて行くことにします。
色々と案は出てくると思いますが、図2の様な構造を考えました。
図2.検査部概略構想
基板を載せるテーブルがあって、手前にテーブルが来たときに基板を載せ(基板供給部)、
基板を保持した時点でテーブルが奥へ移動し(基板保持テーブル移動部)、
プローブの付いた接点板が下降し検査をする(接点板上下部)。
検査終了後テーブルが手前へ移動し、基板を取り出す(基板収納部)、
というものです。
これならば基板供給の自動化も手作業を真似た形で良さそうです。

さて、ユニットの統合、共用は出来ないでしょうか?
今回の例では、テーブルが手前に来た時点で、ピックアンドプレースユニット (以下PPU)が下降し、供給部の基板とテーブル上の基板を同時につまんで、 上昇、横移動、下降でテーブル上に基板供給とマガジンへの収納を同時に行えるでしょう。(図3)
すると、基板供給部と基板収納部は一つのユニットに統合した方が良さそうです。
図3.検査部自動化概略構想

それでは、それでうまくいくか検討してみましょう。 まず希望タクトタイムは2秒以下です。また、検査に要する時間は0.5秒だと書かれています。
すると、2秒の内0.5秒は使えませんから、1.5秒の内に、検査部からテーブルが手前へ戻り、テーブルからの基板 取り出し、テーブルへの基板供給そして検査部へのテーブル前進を終えなければいけません。
概略、下図の様なタイムチャートになると思われます。
図4.検査部自動化概略タイムチャート

次に、仮に10分無人稼働をさせるとなると基板は
(60秒÷2秒/枚)×10分=300枚
必要になります。単純に平積みしても750mmの高さになります。
実際にはこんなに基板を積む訳にはいきません。
マガジン供給としても最低6本くらいのマガジン数は必要でしょう(1本あたり、50枚収納)。
自動マガジン交換は必須なのがよく分かります。
同様に、検査後の基板の収納も考えねばいけません。
ただし、自動供給と自動収納は方向が逆なだけで、機構としては流用が可能でしょうし、是非「共用」出来る形で進めるべきです。
また、平積みは基板面に部品が付くことを考えると不可ですから、マガジンは何らかの棚付きのものとなるでしょう。
すると、マガジンの棚から横へ移動させる何らかの移載機構は必要でしょう。
以上のような事を考慮すると、ユニットの構成案は以下のように変更となります。

[ユニット構成一覧(案2)]
大ユニット小ユニット
1.マガジン交換部
(供給側/収納側で計2set)
・エレベータ部(収納側と共用)
・基板移載部(収納側と共用)
2.基板供給/取出部
(収納側と同時動作)
 
3.検査部・基板保持テーブル移動部
・接点板上下部
4.合否振り分け部・不良品排出部
・不良品収納部


[ワークフローの検討]

さて、その様に考えていくと、ワークの流し方(ワークフロー)はどの様に配置したらよいのでしょう。
オーソドックスな考えでは図4の様になると思います。
図4.ワークフロー図

今回の設計はこのワークフローを元に進めていくことにします。

次回からは、3DCADを使いながら、もう少し詳細設計に入っていきます。
(21 April 2004 作成)
(4 May 2004 加筆訂正)
(13 July 2005 加筆訂正)




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