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6.具体的な設計例:概略構想:検査部

今回は検査部の設計を説明します。

[サブアセンブリの検討]

前々回の説明で、概略の構想(案)は決まっていますから、もう少し細かく検査部に必要なサブユニットを考察していきます。
まず、「テーブル移動部」、「接点板上下部」は基本構想からも必要ですね。
次に小ユニットとして、「テーブル移動部」には「基板テーブル組」(単に載せるだけでなく、基板の位置決めをするチャック機構を持つ) とそれを載せて前後に移動する為の諸々の部品「テーブル移動体部品」が必要。
また、「接点板上下部」には「接点板組」、それを取り付ける「接点板取付組」とそれらを取り付けて上下する為の諸々の部品「接点板移動体部品」は必要です。
しかし、それぞれを動かさないといけませんから、なんらかの「駆動部」は必要です。
そこには何らかの「駆動機構組」と、ユニットの切り分けが流動的ですが「モータ部」などが考えられます。
そして機構がむき出しでは不格好で危険ですから、「カバー部」があって、「安全カバー部」などが必要でしょう。
最後にそれらのベースとなる「ベース部」を設けることにします。
まとめると、

[検査部ユニット構成一覧(案1)]
大ユニット小ユニット
1.テーブル移動部・基板テーブル組
(テーブル移動体部品)
2.接点板上下部・接点板組
・接点板取付組
(接点板移動体部品)
3.駆動部・基板テーブル駆動機構組
・接点板駆動機構組
・モータ部 (流動的?)
4.カバー部・安全カバー部 (流動的?)
5.ベース部 

と、この様な構成になるでしょう。
ここではあくまで機能本位でユニット分けをしています。
後に説明する予定ですが、3DCADで必要となるサブアセンブリと、この機能本位のユニット分けは違いが必ず出てきます
構想段階からCADを使うとすると、あまり細かいサブアセンブリを想定するのは困難なので、最初は機能本位でユニット分けをするしかないと思います。

[具体的な機構の検討]

さて、ワークフローを見ると「検査部」の右隣には「合否振り分け部」があります。駆動機構をどの様にするか、配置するかにもよりますが、この部分にはなるべくスペースを空けておきたい、と考えます。
また、検査部の後ろよりは左側の空間を利用した方がコンパクトに収まりそうですです。ですからとりあえずは「駆動部」を「検査部」の左側に配置することにします。
さて、「テーブル」と「接点板」を動かす駆動方法です。
各部にそれぞれモータを配置し、ベルトやチェーン等で動かす方法も考えられます。
しかし、高速で動かしたいですから、モータの瞬時停止で位置決めなどは無理があります。
もちろんステッピングモータを使って加減速制御をする方法もありますが、高価な装置になりそうです。
ここは、カム機構で行くこととします。(もちろん、ここに至るまでに色々と思考を繰り返すわけですが割愛)
現在のレイアウトスケッチでは仮に「基板テーブル」の移動量を70mmと決めています(あくまで仮です)。また、接点板の上下移動量はせいぜい15mmもあれば十分でしょう。
では、これらを元にY-Z平面にレイアウトスケッチを描いていきます。
まず、前回作ったサブアセンブリの「検査部」を開きます。(図1) 前回、包含コマンドで必要部分だけ作成したレイアウトスケッチが見えます。

図1.検査部のサブアセンブリファイルを開いた状態

カム機構(カムの設計ではなく、動くメカ)を設計する場合、注意すべき事は、

1.カム駆動側(カム曲線の上り側)とばね駆動側(ばねで戻る、カム曲線の下り側)をどちらにするかを注意して決めること。
2.カムフォロア径は事前に検討しておくこと。
3.カムの圧力角(注1)を考慮して無理な機構レイアウトにならないようにすること。
4.アームのレバー比(支点からカムフォロアまでの距離と、従動節端までの距離の比)を大きくとりすぎないこと。
5.基礎円直径は上記3、4を配慮しながら、出来るだけ大きくとること。(最終的には計算で確認:参考記事を参照のこと)
6.使用するカム曲線を決め、タイミング線図から割り付け角を決め、最大加速度、最大速度を考慮しながら無理がない機構とすること。  (計算値に不安が有る場合はカムのオーバーラップを考慮して割り付け角の再検討をする)注2

などです。

その他にも注意すべき事はありますが、とりあえずこれらに注意しておけば機構を決定する際には、問題にはならないでしょう。

それではまず、テーブル移動の「基板テーブル駆動機構組」について検討していきます。
カム駆動側をテーブルの奥移動方向、ばね駆動側を手前移動方向とします。
これは、手動機で使う場合、手前側に作業者がいますので、手をはさんだりしてもばねで逃げられるのと、他のメカ(例:PPU)と干渉しても壊れない様に”安全側”を選びます。
次にカムフォロア径は、荷重そのものは小さいのでφ13でも良いのですが、φ16とします。(計算説明略)
カム基礎円直径は仮にφ80で検討します。
以上の事を押さえて、決めたカム機構レイアウトが図2です。

(注:図示の寸法には変更があります。)
図2.テーブル移動部カム機構レイアウト
このレイアウトスケッチは、カム軸位置、アーム支点位置、カム基礎円直径、従動節端ストロークおよびアーム長さに寸法拘束を、カム基礎円とカムフォロア径には接線拘束をつけてあります。
各寸法を変えながら無理のないと思われるレイアウトを試行錯誤しながら決めています。

次に接点板の上下移動のカム機構を決めます。(これが「接点板駆動機構組」)
接点板にはコンタクトプローブ(接点のこと)が多数付きますから、それを押さえられる荷重をカムで発生させねばなりません。
ですので、カム駆動側を接点板下降方向に、ばね駆動側を接点板上昇方向にとります。
次にコンタクトプローブの荷重が約150gf(カタログより)でピン数が最大50本(仕様より)ですから、約7.5kgf、戻しばねの荷重を考えてもせいぜい10kgfと見ればよいでしょう。
ここもカムフォロア径はφ16で問題ないでしょう。(計算説明略)
カム基礎円直径は上と同じとして、φ80で検討します。
ここも各部に寸法拘束、接線拘束をつけて試行錯誤で決めます。
決まったものが図3です。
カムの駆動側をどちらにとるかの関係で、L字型のアームを使っています。

(注:図示の寸法には変更が有ります。)
図3.接点板上下機構部カム機構レイアウト
これらの寸法は、他のメカとの干渉はまだわかりませんから、設計を進めていく時点で変更が出てくると思いますが、それらの変更はレイアウトスケッチを修正することにより、変更が各部に反映されます。
この後にカムの計算が必要ですが説明は省略します。(カム計算の詳細はここを参照願います)


さて、駆動側のメカは概略決まりましたから、被駆動側のメカを決めていきましょう。
まず基板テーブルの移動メカ「テーブル移動体組」を決めることにします。
前々回の仕様検討で概略構造は決めてありますが、今回の検討でモーターやカムなどは左側にまとめることに決めました。
ですのでなるべく右側には出っ張りを作らないという方針で行きます。
そこで考えたのがこの様なレイアウトスケッチです。
図4.テーブル移動体組レイアウト
もちろん、これは大体の見当を付けるためのレイアウトスケッチで、これが最終的な寸法ではありません。大体、こんな寸法があればよいかな?と言う程度をレイアウトスケッチで検討しているわけです。
さて、余談になりますが、ここで
『何故、3DCADで設計しているのに、2Dのレイアウトスケッチにそんなに拘るのか?
3Dでざっくりとモデルを作って配置していき、後から寸法を決めれば良いではないか?
それこそが「3DCADらしい設計方法」ではないか?』

と質問されそうです。
もし、3DCADの操作に熟達していて、それがやり易いと感じられる方はそう言う方法をとるのも良いと思います。
しかし、「どうも3DCADでの設計に馴染めない」と言う方は、是非レイアウトスケッチで見当を付けてからパーツを起こして行くことを薦めます。
理由はいくつかありますが、2DCADと同じ感覚で設計が進められますし、パーツ個々をいじるより、レイアウトスケッチで寸法を色々変えた方が構想段階では見通しが良いと思います。
2DCADでも下書き線(もしくは補助線)を使って設計を進められる方は多いと思います。それに相当する物がレイアウトスケッチと考えて下さい。

私が説明する方法はあくまで「2DCADでの設計には慣れているが、3DCADへの移行がうまくいかない」と言う方を想定しています。
慣れるに従って、個人個人で違った手法が見つかるはずですので、まずはどんな方法でも良いですから、3DCADでの設計方法に慣れることが一番大事だと思います。

では、説明ですが、シャフト2本を縦方向に並べて、そこをリニアモーションベアリングでガイドするものです。注3
実際にはベアリングは4個使いますが、レイアウトの見当を付けるのには不要なので省略してあります。
また、最初の構想では軸は横方向に2列の配置でしたが、上記の通り、右側のスペース確保を考慮して縦配置にしています。
その方がカム駆動アームとの連結も無理なく出来そうです。

次に接点板の移動メカ「接点板移動体組」のレイアウトスケッチを考えましょう。
あらかじめ考えていた概略構想図から、この様なレイアウトスケッチを決めました。(図5)
図5.接点板移動体組レイアウト
ゴチャゴチャと寸法が入っていますが、確定寸法ではありません。とりあえずこれくらいは欲しいという寸法を押さえるために記入してあるだけです。
なんでそんなに寸法を入れる必要が有るのか?と思われるかも知れませんが、先でも説明しました様にレイアウトスケッチの寸法を変更しながら、各部の検討をしていきたいからです。
また、対称な部品は省略してあります。見当を付けるのに不要なスケッチは省略します。
結局、下図の様に4つのレイアウトスケッチが配置されました。

図6.レイアウトの配置
図6.レイアウトの配置
以上で概略の構想はまとまりました。
では、細部の設計に着手する前に各サブアセンブリ用のフォルダーを作っておきます。
作ったフォルダは下図の通り。これらは[検査部ユニット構成一覧(案1)]で決めたモノと同じです。
同様に、空のアセンブリファイルもインプレースで作っておきます。
原点は検査部のアセンブリファイルに一致させておきます。
サブアセンブリファイルを作る場所は同名のフォルダの一つ上としています。
これは、サブアセンブリファイルに含まれるパーツなどをゴチャゴチャと見せない為ですが、各自のルールで構いません。

一寸したことですが、アセンブリファイルを作るとき、「テンプレートファイル」と「格納するフォルダーの場所」(注4)は念入りにチェックして下さい。
後から変更、移動は出来ますが、あまり簡単でもないですから。

図7.フォルダとサブアセンブリファイルの作成例
図7.フォルダとサブアセンブリファイルの作成例

「この様なフォルダーやアセンブリファイルを事前に作る必要があるのか?事前に全部作れるのか?」と言う質問があるかもしれません。
その通りで、最初から細かく全部は作れませんし、必ずしも全部作っておかなくても構いません。
ただ、見通しを良くするため、またファイルを探しやすくするためにも、分かる範囲で作っておいた方が良いです。
何しろ装置物ではこれくらいのコンパクトな装置でも数百点のファイルは確実に出来てきます。分かり易いフォルダー分けは必須でしょう。

以上で、検査部の概略構想がまとまりましたので、次回からは詳細設計に入っていきます。
(24 April 2004 作成)
(7 May 2004 加筆・訂正)


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注記1.[カムの圧力角]付図1のカム曲線とカムフォロアの接点の共通法線と従動節の運動方向とのなす角。
付図1.カムの圧力角

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注記2. 上記説明例の様なカムの検討をするには、タイミング線図からカムの回転数、割付角を決め、選定したカム曲線の特性表を考慮して最大速度、最大加速度の計算をします。
カム曲線には色々な種類が有りますが、変形正弦曲線(MS)が汎用性もあり、一般的です。
詳しくはここを参照願います。

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注記3. このレイアウトスケッチはリニアモーションベアリングを考えた図ですが、無給油ブッシュを使っても、市販のリニアガイドを使っても構いません。
この辺の「ガイドには何を使うか?」は予算と必要とする精度で決めます。
また、軸の選定にも注意が必要です。
詳しくはここを参照願います。
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注記4. インプレースで作成で開くファイルダイアログは何故か、".par"がデフォルトで、かつ「ファイルの場所」は以前に作業していたフォルダーを覚えています。
せめて、パスファインダーで指定しているフォルダーにファイルを格納してくれれば良いのですが、何故かパスファインダで現在開いているフォルダーとは無関係なのが困りものです。
私は最初、「作成したファイルが見つからない!」と困惑したことがあります。
大した事ではないので改善出来そうに思うのですが。
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