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機械設計講座:機械設計者のための覚え書き
軸のねじり・断面二次極モーメント(材料力学の基礎)
0. 概要
軸のねじり
軸のねじりのについて説明します。
機械設計においては、軸の設計は極めて重要です。
破断などを起こさず、安全な軸を設計するにはそれなりの設計の根拠が必要です。
その際、軸のねじり断面二次極モーメントの関係を理解しておくことがとても大切です。

ただし、以下の説明は全て理解する必要はありません。
最大剪断応力を求めるには断面二次極モーメントが関係してくるんだな、と言う理解で十分です。

あと、ねじりに関する強度で考えると、
・軸の強度(破壊のしにくさ)は軸径の3乗で効いてくる
・ねじりに対する剛性(ねじり変形のしにくさ)は軸径の4乗で効いてくる
・剛性で軸径を決定する場合のねじり角は、1m当たり0.25°を基本とする。
・軸の強度を考えた場合、中空軸中実軸では、ほぼ同じ外径で保てる
ことを覚えておけば十分でしょう。

この後、色々な説明(ねじの強度計算や伝達軸の径の決め方など)で突然断面二次極モーメントが出てくると思いますので、「これは何だ?」と思った時に見返して頂ければ結構かと。
1.0 解説
1.ねじり
図1のように長さ l 、直径 d の軸があり、その一端を固定し、自由側に軸をねじる方向にモーメント Mt が働くとき、軸には剪断歪みと、それによる剪断応力 τ が生じる。
このとき軸断面には剪断力の働かない点がありこの点を中立点と呼ぶ。
(これは、はりの曲げを考えたときの中立面と同様である)
中立点の位置は断面の重心に一致する。
図: 軸のねじり
        図1.ねじり
尚、図中の γ は剪断角、θ をねじり角と呼ぶ。
γとθの関係は
γ = r・θ  ------------------(0)
である。

さて、この剪断力τを考えるとき、軸の中立点からの距離を r とすると、その大きさは、
τ = G・r・θ  ------------------(1)
   = G・γ  ------------------(1')
と表せる。ここで、
θ = Mt / (G・Ip) [rad] ---------(2)
となることが分かっているので(補足2を参照)、結局(1)(2)式より
τ = Mt・r / Ip ----------------(3)
と表せる。
ここでIp断面二次極モーメント
と呼び、軸断面の形状により異なる。 (詳細は補足1を参照)

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1.1 中実軸の場合

さて、断面が円の中実軸の場合
Ip = π・d4/32
であることが分かっているから(補足1の(h2) )、
τ = 32・Mt・r / (π・d4) -------------(4)
θ = 32・Mt / (G・π・d4)  [rad] ------(5)
と表せる。
剪断力は軸の外周において最大になるので、(3)式において r = d / 2 とおけば、
最大剪断応力 τmax
τmax = 16・Mt / (π・d3) -----------(6)
と表せる。
すなわち、軸の強度(破壊のしにくさ)は軸径の3乗で効いてくるのがわかる。

ねじりモーメント Mt は、
Mt = τ・π・d3/16 -----------------(7)
  = τ・d3 / 5.1 -------------------(7')
と表せる。

上式を変形すれば軸径 d は、
d = 1.72・(Mt / τ)1/3 -----------------(7")
で求まる。
この式は強度(破壊のしにくさ)を基準にして軸径を求める式である。



剪断角 γ は軸の長さに無関係であるが、ねじり角 θ は軸長l に比例する。
すなわち全ねじり角を θl とするならば、
θl = Mtl / (G・Ip) [rad] -------------(8)
断面が円の場合、
θl = 32・Mtl / (G・π・d4)  [rad] -----(9)
となる。
すなわち、ねじりに対する剛性(ねじり変形のしにくさ)は軸径の4乗で効いてくるのがわかる。


軸径を決定するとき、単に強度だけでなく軸のねじり角もある一定の値以下に無いと色々と不都合が生じる。(例えば軸のねじり振動の発生など)
バッハ(Bach)氏の説によるとそのねじり角は1m当たり、0.25度以下に抑えるのがよいとされている。
以上のことから、(9)式において θl / l = 0.25°[°/ m] = 4.36×10-3[rad]とすると
Mt = θl・G・π・d4/(32×l) -----------------(10)
  = G・d4 / 2336 -------------------(10')
上式を変形すれば軸径 d は、
d = 6.95・(Mt / G)1/4 -----------------(10")
で求まる。
この式は剛性(変形のしにくさ)を基準にして軸径を求める式である。
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1.2 中空軸の場合

軸断面が、外形d2、内径d1の中空軸の場合、断面二次極モーメントは
Ip = π・d24 / 32 - π・d14 / 32
  =(d24 - d14)・π /32

であるので、(3)式において r = d2 / 2 とおけば
最大剪断応力
τmax = 16・Mt2・d2 / (π・(d24 - d14)) -----(11)
中実軸の時と同様に、
ねじりモーメント Mt2 は、
Mt2 = τ・((d24 - d14)/d2)・π /16 -----(12)
   = τ・(d24 - d14) / (5.1・d2)
   = τ・(1 - n4)・d23 / 5.1 -----(12')
( ここで、 n = d1 / d2 )
となる。
上式を変形すれば軸径 d は、
d = 1.72・(Mt / (1 - n4)・τ)1/3 -----------------(12")
で求まる。



さて、中実軸の時と同様に、剛性(ねじり変形のしにくさ)で軸径を求めてみよう。
(3)式において中空軸の場合、
θl = 32・Mt2l / (G・π・(d24 - d14))  [rad] -----(13)
となる。
上式において θl / l = 0.25°[°/ m] = 4.36×10-3[rad]とすると
Mt2 = θl・G・π・(d24 - d14)/(32×l ) ----------(14)
  = G・(d24 - d14) / 2336 
  = G・(1 - n4) ・d24 / 2336 ------------------(14')
上式を変形すれば軸径 d は、
d = 6.95・(Mt ・( 1 - n4 ) / G)1/4 -----------------(14")

( ここで、 n = d1 / d2 )
で求まる。




1.3 中実軸と中空軸の強度の比較

式(7’)と(12’)から軸の強度が同じ(すなわち両式が等値)とすれば、
d3 = (1 - n4)・d23
d3 / d23 = 1 - n4
d / d2 = (1 - n4)1/3
となる。
仮に n = d1 / d2 = 0.6 とすると、
d / d2 = 0.955
となり、中空軸の外形はわずかに大きくなるのみで、同強度で中実軸に比して重量の軽減が出来ることが分かる。



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補足1:断面二次極モーメントの概念について簡単に説明する。

断面二次極モーメント(polar morment of inertia of area)は、軸の中立点から距離 r の位置にある微小面積を d とすると、
-----(h1) と定義できる。

例えば円形断面の断面二次極モーメントを求めてみる。

図hの様に、微小面積要素 dA を、中立点から r の位置にあって幅が dr の同心円環とすると、2πr・dr となり、 r について積分していくと、
図: 軸のねじり

  図h.円形断面の断面二次極モーメント
-----(h2)
となる。


ところで、単純な形状であれば簡単に求められるが、その他の断面、例えば異系形状材などはどのように求めたらよいだろうか?

実は、それは単にx軸に関する断面二次モーメントと、y軸に関する断面二次モーメントを足したものになることが分かっている。

すなわち、同じ原点からの x 軸、 y 軸に関する断面二次モーメントをそれぞれ、 IxIy とすると
Ip = Ix + Iy-----(h3)
として求めることが出来る。

CADを使えばX、Yについての断面二次モーメントは容易に求めることが出来るので、断面二次極モーメントも容易に求めることができるだろう。
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補足2:θ = Mt / (G・Ip) となる説明

面積 dA の微小面積要素に働く剪断力は τ・dA である。
この力の中心軸周りのモーメントは(1)式より、

(τ・dA)・r = G・θ・r2・dA

である。
中心軸周りのねじりモーメントは、これらの微小面積要素に働くモーメントの全断面積についての総和に等しく釣り合うはずであるから、
Mt = AG・θ・r2・dA
   = G・θ・Ar2・dA
   = G・θ・Ip

すなわち、
θ = Mt / (G・Ip)
であることが分かる。

上式を見て気づかれると思うが、実はこれが断面二次極モーメントの定義そのものなのである。
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(10, Feb 2013)初出
(16, Feb 2013)記事追加
(21, Feb 2013)誤記訂正、 記事追加
(15, Mar 2013)誤記訂正、 記事追加

参考
文献
理工学社刊 「JISにもとづく機械設計製図便覧」 大西 清(著)
コロナ社刊 「改訂 材料力学要論」 S・ティモシェンコ
D・H・ヤング(著)
前澤成一郎(訳)
日刊工業新聞社刊 「機械要素の設計基準」 宋 孝(著)

copyright(c) 2011-  orbit limited.

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